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テーマ:映画と原作(83)
カテゴリ:海外文学
映画鑑賞感想:『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 ライラの冒険 黄金の羅針盤 先行上映吹替え版(2008 2/25 記述追加) 原作のほうが上? 米誌が選定「映画化されて失望した作品23本」 (2008 8/3 記述追記) 「ライラの冒険」続編の製作が中止? (2008 8/3 記述追記) プルマン氏の映画『黄金の羅針盤』公開に向けたコメント (2008 8/3 記述追記) ファンタジー好きなら見逃せない英国の硬派冒険長編。 一巻二巻と続けてカーネギー賞を受賞し、三巻は2001年ウィットブレッド賞を受賞(英国の二大文学賞の一つ)。 いよいよの完結です。二人の運命がわかりました。なんとも壮大な展開、で、無神論です。一巻の帯に”「ナルニア物語」に熱中した人に”ってありますが、この作品は反対の、アンチキリスト教会の作品です。 キリスト教そのものであるナルニア物語とは 宗教観はまったく別物でしょう。 「ナルニア国物語」では、ライオン:アスランはキリスト、その死と復活はまさに、キリストの復活を描いてます。 もちろん宗教観は抜きにして物語としては楽しめます。 キリスト教の歴史の長いイギリスならではなファンタジーなのですね。 題名の「琥珀の望遠鏡」これは肉眼では見えないあるものが見えるようになるという道具のことです。この肉眼では見えないものの正体というのが、この物語の重要なキー。 <解説をかいつまんで紹介> ~ストーリーテリングのうまさにどんどん読ませてしまう。明らかにハリー・ポッターシリーズとはちがう。新種のファンタジー。 一見わたしたちの世界に似ていながら、どこやらの<異界>を描いている。どこへとびこむことになるのやら興味津々先へ先へとページを繰らせてしまう面白さ。主人公ライラのおてんばぶりもさることながら、脇役の気球ノリのリー・スコーズビーさん、よろいぐまのイオレク・バーニソン、魔女のセラフィナ・ぺカーラ、悪役のコールター夫人、それにダイモン(守護精霊)がいい。 さらに壮大な旅。この世とあの世どころか、異界と異次元と現実世界をまたにかけての、めまぐるしい旅の連続。その旅人の最たる人アスリエル卿はいくつも「顔」を持っている。ひとつは「大探検家」、もうひとつはライラの実の父。また殺人者、教会に反旗を翻した反逆者でもあります。その上とてつもない大志をいだき、 「教会の神、オーソリティの住処を探しに行き、神を滅ぼしにいくつもり」だというのです。 解説者はリルケの愛読書ヤコブセンの「ニールス・リイネ」(ひとりの)無心論者の苦しいたたかいと最期を描いた作品)について書いた書評 「人間が高らかに<神はいない>と歓呼できる日々こそ、まるで魔法の杖をひと打ちしたように、新しい天と地が創造される日だということを思わないですか」 そして1世紀もたってから、プルマンさんは魔法の杖を3振りしたのでは、っと結んで、さらに書評は続く。。 <訳者あとがきより> ~「琥珀の望遠鏡」はフィリップ・プルマンが7年をついやして執筆した長編冒険ファンタジー三部作の完結編です。第一作「黄金の羅針盤」に2年、第二作「神秘の短剣」にまた2年。そしてこの第三作に3年も費やしたとのことです。いかに作者が心血を注いだかが分かります。 さて、もともとこのシリーズを書くきっかけとなったのは、1990年代の初め頃、この本の「謝辞」にも紹介されている出版人デイビット・フィックリング氏に薦められたことがきっかけだといいます。 1990年代の前半と言うと、英米の児童文学界が低迷し、鑑賞に堪えうるようなすぐれた児童文学が死に瀕しているいわれた時代です。その危機的状況を打破するべくフィリップ・プルマンが完成させたのが、本シリーズの一作目「黄金の羅針盤」でした。「黄金の羅針盤」はC.S.ルイスの<ナルニア国物語>やトールキンの<指輪物語>に匹敵するファンタジーだと高い評価を受け、たちまちベストセラーとなり、1996年度にカーネギー賞とガーディアン賞という大きな児童文学賞をダブル受賞(ちなみに、この賞をこれまでダブル受賞したのはリチャード・アダムズの「ウォーターシップダウンのうさぎたち」など、ごくわずかです)全世界で大人から子どもから大好評をもって受け入れられました。このあと、<ハリー・ポッター・シリーズ>が登場、児童向けネオ・ファンタジーの空前の大ブームをむかえるわけですが、その先鞭をつけたのがフィリップ・プルマンといえるでしょう。(つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年08月05日 22時32分19秒
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