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黒うさぎ1106

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2006.01.15
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テーマ:チェス(476)
カテゴリ:チェス日記






ども

暴れる猫をなだめる黒うさぎです。

こんばんはm(_ _)m











皆さん 以前ここで

「ハリーポッターと賢者の石」映画版に出て来るチェス局面について

解説したのを覚えていますでしょうか?







今日はこのシリーズの締め括りとして

この局面に関する裏話を紹介してみようと思います。











チェスを知っている方なら既に気付いている事とは思いますが

実はあのチェス局面 プレイヤー同士のゲームで生じたものではなく

映画の演出の為 人為的にデザインされたものなのです。







この局面の製作にあたったのは「ジェレミー・ジルマン」という方。

アメリカ出身のチェス棋士で チェスの世界では有名な戦術書

「How to Reassess Your Chess」の著者でもあります。

このような「チェスの専門家」とも言えるような方に

映画製作者側は白羽の矢を立てたわけです。







では何故 作中のチェス局面を製作するだけの為に

彼が駆り出されたのでしょうか?

勿論これにも正当な理由があります。











何故ならこの局面の製作には

高度な技術を要するからなのです。











知っての通り「ハリーポッターと賢者の石」は 元々小説として出版されていたものです。

勿論ストーリーも映画化される以前から決まっており

各キャラクターが扮する駒の種類や 勝負の決まり方といった

ゲーム進行についても決まっていました。

つまり例のチェス局面はストーリーに合わせて作る必要があった訳です。











ちなみに ストーリーの内容や映画の演出を踏まえ

映画製作者側から提示された条件は 以下のようなものだったそうです。







・黒が勝つゲームでなければならない。

・黒ビショップ 黒ナイト 黒ルークはそれぞれ少なくとも1個いなければならない。




ストーリーの中で ハリーは黒ビショップ ロンは黒ナイト

ハーマイオニーは黒ルークとしてゲームに参加しています。

最低でもこれらの駒は チェス盤に残っていなければいけません。







・ゲームは数手で終わらなければならない。

・初手は黒ナイトが取られる手でなければならない。

・最後にメイトを決めるのは黒ビショップでなければならない。




小説では ロン(黒ナイト)が犠牲となり

ハリー(黒ビショップ)がメイトする展開になっています。

当然映画版でも この進行を再現する必要があります。







・黒ビショップと黒ルークは最終局面においても

それぞれ少なくとも1個いなければならない。




ロンの犠牲によりゲームに勝ったハリー(黒ビショップ)とハーマイオニー(黒ルーク)は

チェス盤の部屋を抜け先へと進んでいきます。勿論これらの駒は残っていなければなりません。







・実際のゲームで生じうる局面でなければならない。



設定上は「ロンと魔法使いのチェスとのゲーム」という事になっている為

あまりに人為的な印象のある局面であってはいけません。







これらの条件を踏まえつつ 苦心の末彼が作り出した局面は











このようなものでした ↓











そして上の局面から ゲームは以下のように続きます。











まず白はQd3と指し 黒ポーンを排除します。











それに対し黒は...Rc3と指し 黒ルークを犠牲にします。

これは後にハリー(黒ビショップ)がc5でチェックする為の準備となります。











この黒ルークを 白はQc3とクイーンで取り











以前紹介した局面になります。

ここでロンが自らを犠牲にする指し手...Nh3を放ち 黒を勝利に導いたわけです。







このゲーム 実は映画製作者側から出された条件を全てクリアしているだけではなく

「白クイーンをこのゲームの悪役に仕立て上げ 全ての駒取りに彼女を関与させる」

という 彼自身が考えた演出まで付け加えられているのです。

まさに「プロだからこそ成し得た仕事」と言えます。







実際の映画ではこの部分が映像化されなかった為

残念ながらジルマンの演出は影に隠れてしまいました。

しかし 彼が作り出した局面が多くの観客を魅了し

新たにチェスファンを増やしたという事実を考えると

「チェスの魅力を伝えよう」という彼の意志は十分受け継がれたと言えるでしょう。







もし「ハリーポッターと賢者の石」を観る機会がありましたら

これらの事も念頭に置きつつ観てみましょう。

きっとまた別の楽しみ方ができると思いますよ(^^







( 追記:当記事の作成にあたり 「皇帝」さんが運営されているサイト

「皇帝の正しくないチェス」における記事の一部を 承諾を得た上で使用させていただきました。

ご協力本当にありがとうございましたm(_ _)m )











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最終更新日  2007.03.24 22:58:11
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