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少年が犯罪等を犯した場合,その少年は家庭裁判所の審判に付される。このことは皆さんだいたいご存じであろう。家庭裁判所での「少年に対する審判」は,地方裁判所での「被告人に対する刑事裁判」あたる。
ところで家庭裁判所というものは,「少年の健全育成」と「家庭の平和」を目指して,「少年に愛を・家庭に光を」というキャッチフレーズのもとに,第2次世界大戦後に出来た裁判所だそうである。 「このような設立趣旨からして,他の裁判所に対するイメージだいぶ違う」と感じる人が多いのではないだろうか。 ところで,家庭裁判所で審判される少年の事件(これを「少年保護事件」という)は,犯罪を犯した少年についてだけではない。犯罪を犯すおそれのある少年(これを「ぐ犯少年」という)は,いまだ犯罪を犯していなくても,家庭裁判所で審判される。ここが,大人の場合と決定的に異なっている点である。 「ぐ犯少年」について,少年法の規定をそのまま書いてみる。 次に掲げる事由があって,その性格又は環境に照らして,将来,罪を犯し又は刑罰法規に触れる行為をするおそれのある少年。 イ.保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。 ロ.正当の理由なく家庭に寄りつかないこと。 ハ.犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し,又はいかがわしい場所に出入りすること。 ニ.自己又は他人の徳性を害する害する行為をする性癖のあること。 なんとも,あいまいな内容の規定だと思うだろう。意味のとり方しだいでは,どんな少年も「ぐ犯少年」になってしまう。もし大人がこのようなあいまいな事由で刑事訴追されたら,人権侵害もいいところである。 少年に対しては,なぜこのようなしくみになっているのか。それをひらたく言えば,「少年達をりっぱな大人に育てあげるのは,大人達が作る社会の責任だ。」と考えられているからである。 大人が,このまま放っておいたら堕落してしまうような状況になっているとしても,世間や他人が介入したりはしない。自己責任ということで冷たく突き放している。その反面,大人たちは自由に行動できる。 反対に,少年達に対しては,悪い人間にならないように守ってあげようとして,多少の自由を奪っているのである。 親が,かわいくて仕方がない娘に「悪い虫」がつかないように厳しい門限を設ける,というのが世間ではあるだろう。その親は,ある意味では娘をかわいがっていると言えるが,ある意味では娘を信用していないのである。 少年法の「少年の健全育成」という理念の裏には,「少年を守ってあげよう」という考えと「少年を完全には信用できない」という考えがあるのだ。 明日も,家庭裁判所での少年保護事件の対象となる少年について書いてみたい。 ![]() [仕事を離れてふと思う]カテゴリの最新記事
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