株式を公開し,証券取引所に上場している株式会社についてのみ,会社の意思に反して買収されてしまうという
敵対的企業買収(いわゆる
「のっとり」)が可能であることは,おわかりいただけただろうか。
ライブドア問題においてマスコミは,
25パーセント以上・34パーセント・過半数といった数字をあげていたのを覚えていると思う。昨日の私の日記でも
「過半数」というものを出した。それらは全て,商法に根拠がある。商法で規定されている株式会社の全体像について簡単に説明しておきたい。
株式会社は株主のためのものであり,その機関としては,
「株主総会」「取締役会」「監査役」がある。それらの役割を大まかにイメージするとしたら,株式会社が「国」で,株主は「国民」だと思えばいいと思う。「国民主権」という言葉を聞いたことがあると思うが,,
株式会社の主権者は株主なのである。
そして,内閣総理大臣を頂点とする行政機関の人物を選出する
「国会」にあたるのが
「株主総会」であり,行政機関である
「内閣」にあたるのが
「取締役会」だと思えばよい。
内閣総理大臣にあたるのが「代表取締役」である。
株主総会の決議は,原則として,出席株式数の過半数でなされる。ひらたく言えば
多数決で決まるのだ(商法239条1項)。会社の経営を決める取締役会を構成する
取締役は,
過半数の株式を持っていれば自分の気に入った人物を自由に選任できるのである。
ただし,株主総会で
重要な事項を決議するについては,出席株式数の
3分の2以上の賛成が必要である。これを
「特別決議」という。特別決議事項の代表的なものとしては,
「定款の変更」(商法343条)
「任期途中の取締役の解任」(商法257条)「営業の全部又は一部の譲渡」(商法245条)等である。つまり,これらの事項については,3分の1以上の株式を持っている者が反対すれば決議できないのである。
これらの数字を,ライブドアとフジテレビの関係にあてはめてみる。ライブドアはニッポン放送の株式の過半数をまもなく取得する。しかし,現在の取締役は任期途中であり,解任は特別決議事項なので,3分の1以上の株式を持つフジテレビに反対されると
解任はできない。
ところが,ニッポン放送の取締役は全員
本年6月に任期が満了する。その際に新たに取締役を選任するには,過半数の株式があれば自由に選任できる。そして,
ライブドアが送り込んだ取締役が選任された時,ライブドアのニッポン放送のっとりが完成するのである。
ただし,フジテレビもニッポン放送の株式を3分の1以上取得した。したがって,
重要な事項については,フジテレビ側の賛成がないと株主総会で決議できない。少し
中途半端なのっとりであり,フジテレビと業務提携する方が賢明だということになるのだ。
明日の日記では,マスコミで取り上げられた25パーセントという数字の商法における根拠,及び一連の問題における証券取引法上の問題点について書いてみたい。
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