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カテゴリ:見た映画
映画「心中天使」渋谷ユーロスペースにて2月5日(土)より上映です。
監督:一尾直樹 キャスト: 尾野真千子 (河瀬直美監督『萌の朱雀』『殯の森』(カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得)) 郭智博 桜井ひかり(菊里ひかり) 『ゲゲゲの女房』(10年/NHK)。 國村隼 萬田久子
以下は、5日の朝日新聞より。 http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201102040356.html 見慣れた日常の風景の中で突然、漠とした不安が頭をもたげたことはないだろうか。例えば、自分の存在とは何なのか、と言ったような......。一度でも経験のある人なら、この映画は他人事ではない。 10年前、「溺れる人」で夫婦の実存的不安を描いた一尾直樹監督の長編第2作は、より多様な人物による自分探しの物語になっている。むろん今流行の浅薄な自分探しではない。よりあいまいな、ゆえに、より切実なそれである。 互いに無関係に暮らしてきた3人の男女。ピアニストのアイ(尾野真千子)と会社員のユウ(郭智博)、高校生のケイ(菊里ひかり)は天空から啓示にも似た「何か」を受け取る。以来、彼らは両親や恋人ら身近な人々とのコミュニケーションがうまく取れなくなり、現実社会から浮き上がった存在になっていく。 一尾監督の特質は、超常的とも言える物語を淡々としたリアリズムで表現していく点である。何でもない日常の風景が映し出されるのだが、光や風の具合がこまやかでいとおしく感じられる。そんな空気の中に、微妙な非日常がさりげなく滑り込んでくる。 水まきホースが奇妙な曲線を描いて置かれていたり、コップのミルクがかすかに震動していたり、ひび割れた鏡に映る自身が2人に分裂していたり。誤差の範囲といえる非日常。しかし、人はそんな小さなほつれ目から、容易に別世界に入って戻れなくなる。 「何か」につかれた3人は一瞬、日常に帰還したと見せて、更なる自分探しの旅に出る。怖いのはその後である。日常を生きていた人々に「何か」が伝染しているのだ。 人間の精神はいかに細く危うい綱の上に立っていることか。漠とした不安は、小さなほつれ目を視界がとらえた時に湧き起こる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.06 11:20:32
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