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カテゴリ:政治
九州最大規模とされる熊本県の川辺川ダム建設に蒲島熊本県知事が反対の意向を表明しました。既に2000億円が道路などの周辺整備に投じられていますが、地方自治体が国の3300億円にも余る事業に公然と反旗を翻しました。
嘉田滋賀県知事の新幹線新駅建設取りやめは地方自治体レベルでしたが、国レベルの工事反対は土建国家の終焉を印象づけました。諫早湾干拓事業をめぐる訴訟でも国は敗訴しました。地元を無視した事業は成り立たなくなりました。 田中角栄の列島改造論は一世を風靡しましたが、高度成長の恩恵を日本全体に及ぼす効果がありました。日本人総てが中産階級意識をもてた時代でした。世界で最も成功した社会主義国家だと畏敬を込めて揶揄されていた時代でした。 バブル期には国際競争力も世界一となり、ジャパン・アズ・ナンバーワンという書籍が発行されたぐらいでした。日本の社会システム、終身雇用、年功序列が賞賛された時代でしたが、バブルが崩壊し、失われた10年に入りました。 数十兆円規模の財政出動が繰り返されましたが、赤字国債の山が積み上がるだけでした。グローバル化した世界に対応するのが遅れ、銀行は不良債権の山を積み上げました。企業も財政出動依存の経営から脱却できませんでした。 小泉改革が財政出動にブレーキをかけるまでは国は赤字の垂れ流しでした。プライマリーバランス正常化の目標が立てられましたが、総選挙対策で反古にされかねません。赤字国債は近い将来には1000兆円に達すると思われます。 生まれてくる子供は生まれながらに1000万円もの借金を負わされているのです。年収が200万円にも満たない負け組の人たちにも多額の借金を負わせているのが日本です。若者から勤労意欲が薄れてくるのも当然だと思えます。 自民党の利益誘導型の政治は小泉政権では陰を潜めましたが、福田政権で復権を果たしました。総裁選、総選挙向けに与野党のバラマキ合戦が始まりました。小沢代表が公約をしているバラマキの財源には数十兆円も必要だそうです。 自民党の麻生氏も小沢氏に負けないくらいの財政出動を考えているようです。国民も蜜に群がる蟻のようにバラマキに群がりかねないときに、熊本県知事が3300億円もの川辺川ダム建設に反対を表明したのは勇気ある決断でした。 国は「ダム建設を中止するなら水害を受忍してほしい」と県を脅迫をしたようですが、大型土木事業の評価は国から地方自治体に移管すべきです。国の予算を地方が望む事業以外に強引に注ぎ込むのは利権政治の典型だからです。 道路も高知県のように1.5車線道路にすれば予算を大幅に削減できます。高知県人は不必要に広い道路よりも狭い道路の数が増えたのを喜んでいます。国の支出が減り、県が負担する費用も減りましたから、双方一両得です。 土建業の倒産が目立ちますが、産業の構成が変わるのですから仕方がありません。リストラが遅れれば失われた十年に戻りかねないからです。高齢化社会の日本は痛みを伴う構造改革を進めなければ、世界の負け組になるからです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008/09/15 09:10:33 PM
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