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久々の更新……。
さて、皆さんは顕微鏡をのぞいたことがあるだろうか? 最近はあまりのぞかなくなったが学生時代の実習はもちろん、組織を切り出して固定し観察したり、細菌培養の直接鏡検なんかをしたりと、仕事を始めてからものぞく機会は決して少なくない。 顕微鏡を扱う上での基本は、「弱拡」からだ。弱拡は恐らく「弱拡大」の略だと思われるが、とどのつまりは低倍率のことを指す。顕微鏡にはたいてい数個の接眼レンズが付いていて対物10倍程度から100倍程度を切り替えて試料を確認していく。 たとえば骨髄穿刺なんかで悪性細胞を検索するとしよう。すでに骨髄全体が悪性細胞で占拠されていて、どこをとっても「悪性」と判断できる状況なら別に「強拡」で始めてもいいかもしれない。しかし、ほとんどの場合はそういったことにはならない。 まず、弱拡でサンプル全体を大雑把に把握。そして中拡で範囲を絞り込み、ターゲットをロックオン。そして強拡でターゲットの顔を見に行く。 強拡でターゲットを探すのはスナイパーライフルに付けたスコープだけでターゲットを探すことと同じくらい、効率が悪い。 こうしたことは結局は絞り込みに他ならない。絞り込みはまず粗い目から始めなければいけない。最初から細かい目にしてしまうとつまってしまうからだ。泥水を濾過して飲料水を作るとき、最初から細かいフィルターにすればそのフィルターはあっという間にダメになってしまうだろう。せめて重力に任せて沈殿させた後、上澄みを濾過するだけでもずいぶん違ってくるはずだ。 その目の粗いフィルターが一般内科だとすれば、目の細かいフィルターや強拡の対物レンズが専門家集団ということになろう。 最近の患者さんの受診傾向は明らかに「専門家志向」だ。巷のマスメディアにジャンジャン登場する偉~い先生方達は何らかのスペシャリストであり、そのジャンルにおいては比類なき方達である。そうしたマスコミに煽動されているのかどうだか知らないけれども、のっけから専門家に診てほしいとやってくる患者さん達は後を絶たない。 専門家たちにしても、その患者さんが『本当に』自分の専門の範疇であれば喜んでみてくれるだろうが、大半は専門外という双方がっくりした結果に終わっているような気がする。そして決め台詞。 「これは私の専門ではありませんから、余所で診てもらってください」 専門家に見放された絶望感、そしてその絶望感を抱えたままやってくる患者さん達。結局吹きだまりのようになってしまった行き場のない患者さん達は専門を標榜しない場所に居着いてしまう。 患者さん全体の集合をUとするなら、専門家で診てくれる部分集合はA、そして専門外の補集合はĀということになろうか。そして補集合の患者さんを診るDr.もたまったものじゃない。なぜなら、こうしてやってきた患者さん達は再び専門家の元へ戻ることができないからだ。 あらゆるジャンルの専門家を数多く擁すれば、一般内科に匹敵するのではないか、という考え方もあるだろう。しかし、現実的ではないし何よりも効率が悪い。ちょっとした病気を治すためにいったいいくつの専門家を受診すればいいのか……患者さんも途方に暮れてしまうはずだ。 一般内科でさえ「総合診療科」と標榜する時代。専門家志向も度を過ぎているような気がしてならない。 http://ranking-blog.net/dr/rl_out.cgi?id=dr011&url=http://ranking-blog.net/dr/html/index.html
最終更新日
2006.02.27 10:05:13
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