野生の夜に(5月2日続き)
朝、車の後部座席で目覚めた私は、もう一度携帯電話からキャンプに参加されていると思しきメンバーに電話を入れてみるが、やはり山奥につき圏外になっている。私は、仕方なく、愛の賛歌を呟きながら差し入れのビールを飲もうとするが、その前に一人だけ電話が何故かつながった。
「今、向っている所です。9時に天界(携帯圏外)より、あの場所に迎えに来てくれます」
そういう訳で、私もあの場所にて待機することにした。同時に彼もまだキャンプに参加していなかったことが判明した。
その場所に、車を置きっぱなしにして、天界より降臨してきた4輪駆動の車に乗りこみ、猛スピードでテンバ(テント場)に向う。「おまえ普通の乗用車で林道途中まできたんか、よーやるわ」とか「未舗装から500メートル入った所ではなく、5キロ入った所がテンバだよ。よう3.5キロまで来たなア、しかし途中木が倒れていたからその車幅では無理やったわ」とぁ「夜中真っ暗でようこんな気色悪いところ入っていったなあ」とか「本当にテンバに夜中の3時に来ていたら、全員寝てたのでとっても迷惑な話だったよ」とかお褒めの言葉を数多く頂いた。
今回のキャンプのコンセプトは「決断とスピード」であって決してメシにはなかった.それゆえにメシは非常にシンプルなものであり、焼き鳥からご飯からカレーまで全てレトルト商品となっており、ただただ温めるだけ倶楽部焼くだけ倶楽部になっていた。決してアンチパストミストから始まりウニパスタを通過し、最後はグラッパというイタリアンハーフコースではなかったのである。しかしながら驚愕すべくに酒のつまみは丁寧に料理していったのである。スルメ、ピーナツをカリカリに揚げたり、えいひれを炙ったり。
山奥の廃墟まで健康的にハイキングする。コミューンだったのだろうか。人里離れて自給自足なのだろうか。私の後輩にも長野県で時給自足のような生活をしている者がいるが、自宅で3人子供を産んだようである。それでも電話はある。旦那は東京などにイベントの仕事でよく行くようだ。
次回、じゃんけんで負けた者が一人で廃墟に泊まるということで、退散。
このキャンプの首謀者は私の大学時代の盟友であるが、彼はしっかり家庭というものを持っており、奥様1名、子供は長男次男、そして3番目に長女、それから極悪ブリーダー(大学の同級生だが)から奪取した柴犬を保有しているのだが、そのうちの長男次男は生まれながらにしてキャンプに慣れ親しんでおり、親だけでなく、私やその他参加者によって鍛えられ、立派なサーバントになりつつある。しかしながら長男は、中学生になりそろそろ反抗期というものを迎えつつあり、「サーバントって何?ボクはサーバントじゃないよ」と命令した半分は理由なき言われ無き反抗を示していた。次男は、川で皿を洗ったり、モノを運んだりと、立派なサーバントになるべく邁進中である。
おまけに今回は、約2名が婦人同伴ということで、ファイヤーダンスは中止となった。我々は、何を隠そう、紳士なのである。レディーがいる前だけは。そういう訳で今回は焚き火前で鬼畜になるのは中止だ。加齢と常識が我々を大人にしていくのだ。
炎、水の流れ、こういう動くものに対して、飽きずに見続けることができる。
主義者の元シンパであるSが午後7時に焚き火宣言を高らかに行う。一応ビールは12リットル及び焼酎数本かつシャンパン2本は持ってきている。勿論、朝から飲んでいるのでここでわざわざ乾杯するものの既にヘベレケではある。昼間に集めてきた大量の朽木をくべて、炎の高さを3メートルにする。心の内なる野生が甦る。もう吠えてもいい頃。
ウォオオオオォォオオォオオオオォー
ボブマーリーはいっちゃた~ガンジャマウンテンの向こうに~
ちなみに昨日は地元ダンジリであった。
http://www.rokko.or.jp/users/danjiri/