「あなたが一番充実したアルバイトは何でしたか」
*はい、倉庫の中で、真夏、右端から左端までプロパンガスを500本移動させる仕事でした。頭の中が体の動きと別になり、忘却から、南無、無常、無明になっていきました。私自身が、いつの間にかプロパンガスになり、気がついたときには仕事は終了していました。
「あなたは「自己分析」って知っていますか?「自己PR」は?「志望理由」は」
*知ってますが、秘密です。PRとはパブリックリレーションのことで、企業は、個人の消費者に直接商品を訴えかけるのではなく、マスコミなどを使って商品を露出し、消費者を導いています。
「この会社の志望理由は」
*よく覚えてません。よく知っていたら誰もその企業にもなかなか就職できません。こちらが聞きたいです。
「あなたは、学生時代に何をやってきましたか」
*道草のみです。
「あなたがこれまでにやってきたことから得たものはなんですか」
*何とかなる。何とでもなる。でも最近分かったのは、何とかなっただけ。何とでもなっただけ。
「あなたは価値のある人間ですか」
*勿論。だってそうじゃなかったら誰も私のことを価値ある人間と思ってくれる人がいなくなるじゃん。それ悲しいじゃん。(横浜弁)
「あなたの個性は何ですか」「あなたの『セールス・ポイント』は何ですか」
*でもどうでもいいことには真剣真摯な態度でのぞみ、とても大切なことはやり過ごします。
「もう一度お聞きします。あなたは、なぜ、就職したのですか」
*修行ですね。
「そこであなたは何がやりたかったんですか」
*修行。
「 -あなたの「夢」は何ですか」
*勤め人としての立場からは、いえません。
「I speak to myself “what a wonderful world”」(ルイ・アームストロング)
鉄くずの彼方に