こんな私でも、案外、満員電車に毎日揺られている一介のリーマンである。満員電車では、凄いスピードで文庫本のページをめくる作業に没頭している訳だが、大阪からの地下鉄は、幸いにも始発駅なので、時間に余裕があれば、一つ後の電車に乗って、座り、凄いスピードで眠る。
幼い頃から、今まで、恥ずかしがりやなので、席を譲る行為が照れるので、後からもう人がそんなに乗ってこないと予想される以外は席には座らない。それでも、今まで、勇気を振り絞って席を譲ったことはある。基本的には混んできたら黙って立ち上がる場合が多い。
しかしながら、言い訳をすると、朝は大抵老人や障害者やニンプや怪我人は乗ってこないので、座らせてもらっている。言い訳だが、座ろうと思えば、一つ電車を遅らせれば確実に座れるので、急いでいる人が建っているものなのだと自分に言い聞かせている。それに大抵3,4駅以内にはほとんどの人が降りてしまうからなと、再び自分に言い聞かせている。
しかしながら、今日は発車寸前に杖をついた老人が乗ってきて、私の前に立った。
何故か、私は、この爺さん3分待てば次の電車で座れるのにヨロヨロ乗ってきたのか?と邪推し、きっと1駅で降りるからなんだろうと邪推した。いつもなら熟睡体制に陥っている私は冷や汗が出てきた。
譲るべきか譲らないべきか、それが問題だ。
満員電車になっているので、席を譲れば、私の立つスペースもすぐ譲っている間になくなってしまう、とかもう寝たフリを決め込むかとかいろいろ考え出して、この時間がすっ飛んでいくことを祈った。
次の駅で、多くの人が降りたが、老人は降りなかった。
譲るべきか譲らないべきか問題に私はあと2分考え続け、次の駅で老人は降りた。
小心者の自分が恥ずかしくて、やけに自己嫌悪に陥った。陥って、すぐ眠ってしまった。
難波パークスに日記を書いた頃が、この日記のスタートあたりだったなあ、と思いながら、今や、ほとんど人のいない難波パークスに寄って来た。5日ほど前にオープンしたオイスターバーを見つけ、牡蠣をやっつけてきた。
米国では、アルコールが入ったショットグラスに牡蠣を入れて一気に飲むスタイルがオイスターシューターというらしい。ウニのトッピングされたのを頼んでみたら、こいつはなかなか旨かった。本当は、生ものに合うのは、ワインではなく、日本酒なのだと思う。