何を隠そう、今日の午後、正午12時、ワタシは、特殊バスに乗り込んだ。
そこにいた不健康そうな若い助手は、先客の様子をガラス越しに見ながら、ある瞬間を捉えて、「さて、これは発泡剤です。喉の奥に入れて、少量の水で飲んでください。ゲップがでそうになりますが、我慢してください」と言われ、飲む。イチゴ味の粉は、少量の水では飲みきれず、半分程度、を律儀にもツバと一緒に飲み込んだ。ゲップが瞬時に出ようとするが、そこを何とか言いつけどおり、我慢する。
この助手は、このセリフを1日何度も繰り返しているのだなあ。
しかし、彼は、「僕の飼っている可愛い子猫ちゃんが死んじゃったから僕は不幸だ」といった撒き餌で同情を誘い、「それゆえに、不幸な僕は、世間に見放された落伍者だ」といった自己憐憫を媒介にした連帯感を強要する一流のナンパ師が似合うような顔をしていたのであった。
まあ、一瞬でそう思うと共に、隣の部屋に入ると、宇宙遊泳の無重力訓練をするためのようなサイバー機械が置いてあり、そこにワタシはセットされると、更にその奥の隣室から先生がアナウンスした。「そこのバリウムを飲んでくださいね。ゆっくりでいいですよ」と。そういう訳でワタシは、バニラのシェイクと変わらぬバリウムをゴクゴクと飲んだが、味は、そう悪くないものであった。
「はい、それじゃあ、動かしますネエ」といい、機械は90度横になり、私は寝ている状態になった。
「はい、右から2周ぐるぐる回って」といわれ、寝ながらぐるぐる回る。「胃の中いっぱいにバリウムで満たしますねえ」と言われ、グヘグエエといいながら、少しのゲップを我慢したら、2秒ぐらい凄く気分が悪くなったが、すぐに治まったのであった。その後、右腹みせて90度になってくださいとか45度になってくださいとか言われる間にも、機械は、上下左右に動き回り、棒を持っていないと振り落とされそうになるのであった。完全に弄ばれているという気分になり、何で、こんなにいじられているんだよ、いつレントゲンとってんだよーと文句の一つもいいたくなったが、こおは医療権力に屈するのであった。もっとスピードが速かったら、ほとんどパーソナルスペースコースターだぜって感じであった。
この先生は、絶対、生理の血に自分の精液をかけて混ぜ合わせて、自分と腕に刺青のある相手の体に塗りたくりながらSMを楽しんで汗をもしたたらせて満足感を得るタイプに違いないと思いながら、社長であろうが、総理大臣であろうが、英語が出来るならCIA長官であろうが、この彼の場では彼にひれ伏すしかないのだなあ、ギャーと思っているうちに検査は終了した。
再び助手の登場。下剤を4錠くれ、2錠を30分以内に飲んでくださいといわれ、すぐ2錠飲み、カレーを食べたが、少し食べるだけで、胃は既にバリウムで満たされているので満腹感を得ることが出来た。
午後から出かける予定はあるのだが、おいそれと、出かけてモヨオシテハたまらないと思い、便所に駆け込むまで出かけるのは控えたのであった。初めての、バリウム、初めての下剤・・・楽しいねえ。
とか何とか思っている間に、すぐにトイレに行った後、出掛けた。
午後5時半、再びもよおしてきたので、トイレに行くと、今回が初めて下剤が効いているということが分かったのであった。便器の底には、白蛇をどろどろに溶かしたような何かがあった。昼間のトイレは、下剤が効いたのではなく、行かなければという気が効いただけだということが分かった。
ともかく、もう2錠あるので、是非、今度は、外出しない休日に、我慢プレイしようと考える今日この頃なのであった。