見たいものしか見えない。そう証明された夏至過ぎのうららかな日であった。私は車で袋小路の場所に迷い込んでしまった。道路に面して駐車場が空いていたので、バックして駐車場に車を入れ、逆方向に向かおうとしたそのときである。
コッテン。
私は、電柱に車の後ろのバンパーをぶつけたのであった。それもナンバープレートの上、ど真ん中である。私の人生上の常識では、駐車場の中に電柱が立っているということはなかった。それでは駐車場の役割を果たしていない。勿論、私は、後方を確認した。そして、サイドミラーを見ながらバックしたのだが、後方ど真ん中なので、サイドミラーには写らないことは分かるが、後ろを見た時に、駐車場の中に、電柱があるとはありえないので、電柱が見えなかったのである。ぶつかったときには、いつの間にこんな所に電柱が・・・と絶句したのであった。
私は、天才的テクニシャンが故、運転が上手なので、今まで、数える程しかぶつけたことはない(そのうち一度は廃車)。おまけに、もう2年程度はぶつけていないと想像される。現在の超高級車についても、修理に出さなくなってから3、4回しかぶつけていないが、それまではぶつけるたびに修理に出していたので、30万円ぐらいは大枚を叩いていると想像される。(いたずらされたものも含む。こちらの方が金額でかかったりなんかする)
初めてぶつけたのは、免許を取った当日であり、その次にぶつけたのは、免許を取ってから2週間後、つまり車を直してからすぐにぶつけた訳で、親からは車運転禁止永年無期限禁止令が下ったほどである。そんな訳で、若き18歳だった好青年であった私は、バイトで溜めまくったインド資金を順調に修理代につぎ込んだため、インド1ヶ月あたりの滞在費が、3万円に満たないという渋さになったのであった。(しかし、インドに行くと、1万円ぐらい余った)
今も車の操縦が不可能になり、飛んで言ってしまう夢を見る。でも、見るだけで、実際は、飛んでいない。運転が下手な男はもてない。しかし、自動車教習所での運転適正検査では、瞬発力がありすぎて反応が早すぎるので、注意されたしと、出たことは記憶に新しい。ほんの20年程度前の話である。
とにかく、見たくないものは見えないのである・・・