児童小説というジャンルなだけに、ちびっこどもに飽きさせまいとしてなのか、二転三転、どんでん返しにどんでん返し。
これじゃぁちびっこも、途中でゲームに浮気したりせずに、最後まで一気読みするに違いありません。
そういや、少年ジャンプは1作品がちょうど山手線の1駅分の長さに調節してあるらしいですが、そんな感じの法月さんの策略が伺えるとまで言ったら穿ちすぎですか?(笑)
ライト・シング ライト・ブレイス
あるべきものを、あるべき場所に
ニューヨークの怪盗グリフィンに、メトロポリタン美術館(通称メット)が所蔵するゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞いこんだ。いわれのない盗みはしないというグリフィンに、依頼者はメットにあるのは贋作だと告げる。「あるべきものを、あるべき場所に」が信条のグリフィンがとった大胆不適な行動とは(第一部)。
政府の対外スパイ組織CIA(アメリカ中央情報局)作戦部長の依頼を受けたグリフィンは、極秘オペレーション「フェニックス作戦」を行うべく、カリブ海のボコノン島へ向かう。その指令とは、ボコノン共和国のパストラミ将軍が保管している人形を奪取せよというものだったが…(第2部)
キュートなイラストから、主人公のグリフィンは少年かと思いきや、もしかしておっさん?な疑惑が拭いきれない罠。
この落ち着きっぷりは結構いい年なんじゃね?と思うたびに、かわいらしいイラストでビックリ!の繰り返しでした(笑)
それはともかく、やだなぁ、法月さんったら、荒唐無稽な話だってちゃんと書けるじゃないですか!←めっさ上目線。
色々ツッコミどころはありますが、でも、そんなことものとはしないぜ!的なある種の開き直りが素敵でした。
法月作品全てを読んでるわけでもないのに言うのも何なんですが、法月さんって本格ど真ん中、頭でっかちでトリックの自家中毒状態(何それ?)なイメージがあるんですよね。
考えて考えて考えすぎるせいで、書いてて訳がわからなくなってるんじゃないの?と思わず疑ってしまうような(笑)
推理小説を感覚で読んでる自分のような読者には、敷居が高い作家さんだったわけですが、
開き直りっぷりが素晴らしかったです。
本格の直球ストレートで来るかと思いきや、以外や以外。怪盗小説(そんなジャンルあるのか?)で来るなんて!
単純明快なストーリー、どんでん返しにつぐどんでん返し。途中にぐるぐる考え込むこともなく、その場その場の困難を切りぬけ、物語はさくさく進みます。
今まで読んだミステリランド(といっても他には2冊(「銃とチョコレート」と「くらのかみ」)しか読んだことないんですが)の中で、一番ちびっこにストライクゾーンじゃないですか?
なんたって泥棒コンテストで始まるんだもの!
法月さんに児童文学?無謀なことするなあ、そんなん書けるわけないじゃん!なんて思ってごめんなさいm(_ _)m
乙一の「銃とチョコレート」(感想はこちら)にも書きましたが、まず「怪盗」という単語にドキドキです。
かてて加えて、きれいなお姉さんに謎の男、秘密作戦に呪いの人形!☆(≧▽≦)☆
これでワクワクするなって言うほうが無理!!!
で、全てが子供向けかというと、そうでもなく、アメリカのエゴ、権力闘争、人種差別、奴隷などなど、やっぱりシビアな問題も紛れ込んでます。
ふと思い出すに、ちびっこの頃、学校の授業より先に本に教えてもらうことも多かったです。この本読んで、CIAとか始めて知るちびっこもいるに違いありません。 そして、
この本を面白いと思ったちびっこが、近い将来スパイ小説へ手を伸ばすのかもしれない。
途中、込み入ってきて頭を抱えることもありましたが(←バカ?)、基本的なとこは分かりやすいし、ちびっこの頃出会っていたら、夢中になって読んでたろうなあと素直に思える楽しい小説でした♪
ところで、ガルバンゾー、コフキーモ、バチアタリーノってダジャレなネーミングににやにやしっぱなしでした。
なんかね、アラレちゃんや奇面組をはじめて読んだときのワクワクがあるんですね。
最近じゃ特捜戦隊デカレンジャーが苗字は推理小説、名前はお茶でしたが、これはすぐに元ネタが分からないので減点1。
※レッド 「アガサ・クリスティ」と「番茶」で赤座伴番(あかざばんばん)
ブルー 「トマス・ハリス」と「ほうじ茶」で戸増宝児(とますほうじ)
グリーン 「エラリー・クイーン」と「煎茶」で江成仙一(えなり せんいち)
イエロー レイモンド・チャンドラーと「ジャスミン茶」で礼紋茉莉花(れいもん まりか)
ピンク 「野村胡堂」と「梅昆布茶」で胡堂小梅(こどう こうめ)
ね?すぐには分からないでしょ?(笑)
則巻アラレ、摘 突詰(つん つくつん)、一堂零、切出翔、似蛭田妖……
こうゆうくっだらないネーミングが子供心にど真ん中ストレートで、今思うと何が楽しいのかうひゃうひゃ喜んでました。あれです、箸が転がってもおかしい年頃でしたから。
「ねえねえお母さん、お母さん!
このね、腕組のリーダーの雲童塊って運動会のことなんだってば!」
「ふ~ん」(←まじめに聞く気は皆無)
という親子の微笑ましい会話をどれだけ交わしたことか(笑)
きっとこれを読んだちびっこも、同じような会話(コフキーモって粉吹芋なんだよみたいな)を交わしてるに違いないよ!(←断言?)
どうせなら、登場人物全部、この手の名前だったら面白かったのに!
【追記】高野正宗様の興味と妄想を拝見しましたら、登場人物の名前(性)がみんな食べ物の名前らしいです。
うええ、全然気付かなかったよ!というわけで減点1。
でも、オストアンデルは笑ったので座布団1枚(笑)
それにしても、ミステリランドを読むと羨ましくて羨ましくて仕方ないです。
だってすごい贅沢じゃん!ちびっこの頃からこれだけ素敵な作家さん達の本を読むことが出来るってさあ!
豪華執筆陣と銘打たれてる作家さんたちは、児童文学を専門にしてるわけじゃないから,大人になっても読み続けることが出来るんだし!いいなあ、今時のちびっこどもは!
学校の図書室でわくわくしながら読んだ少年探偵団シリーズやへっぽこ三人組 ズッコケ三人組やぽっぺん先生シリーズを懐かしく思い出すのと同じように,何年か後,ミステリランド懐かしくを思い出すんだろうなあ。薄暗い図書室で手に取ったつやつやした表紙の手触りやなんかと一緒に。
くうっ,うらやましい!
それにしても,講談社,商売上手ですよねえ。ミステリランドを手に取るたびにそう思います。
こんなラインナップを見せられちゃ大きいお兄さん,お姉さんが手に取らないでいられないじゃないか!
ちなみに、こんなラインナップはこんな感じです。↓
我孫子武丸/綾辻行人/有栖川有栖/井上雅彦/井上夢人/歌野晶午/太田忠司
小野不由美/恩田陸/笠井潔/菊地秀行/京極夏彦/倉知淳/篠田真由美
島田荘司/殊能将之/高田崇史/竹本健治/田中芳樹/二階堂黎人/西澤保彦
法月綸太郎/はやみねかおる/麻耶雄嵩/森博嗣/山口雅也 (五十音順)
感想を読ませていただいた素敵サイト様
→りぶらりだいあり drunker’s high 積んどく?読んどく? 日々のあぶく?
食べたり読んだり笑ったり + ChiekoaLibrary + 未定の予定~ラビ的非日常生活~
フォーチュンな日々(仮) 海砂のつらつら日記 ヘフレレ
CENTER>