いつも素敵MAXな銀魂SSを書いてくださるぽっぽさんですが、 「魔人探偵脳噛ネウロ」のSSを頂いてしまいました!☆(≧▽≦)☆! X×i。バツが二つじゃなくて、サイ×アイ。 CP傾向がある……っていうか、CPなSSなのでご注意ください。
高層ビル20階の窓の一つが砕け散った。 空中に飛び散るガラスの破片の中、ある一介の企業の社長が宙を舞った。 数名の社員達は呆気に取られてその場に立ちすくむ。 自分達の社長の小太りな体が見る見る小さくなり、 禿げた頭からは髪がのび、一人の少年が現れた。 「バイバイ」 少年は空中で振り返り、快活な笑顔で手を振った。 そしてそのまま、下の大通りへと落下していった。 【ふたりの時間】 制限速度を大幅に超えて、一台のスポーツカーが大通りを突っ切っていく。 恐らくその場にいた誰も、事態を正確に把握した者はいなかっただろう。 ガラスの破片と共に落ちてきた少年は、高速で走る車の後部座席におさまった。 「サンキュー、アイ」 少年が言った。 暴走車に10台以上の車とバイクを引き連れて、警察が追ってきている。 警察は大げさにサイレンを鳴らし、バイクは少年の乗る車を囲むように左右に回る。 運転している女は顔色一つ変えずに冷静にハンドルをきる。 レバーを一段階上げ、右足でアクセルを更に深くに押し込んだ。 車は一気に加速し、再び警察を引き離す。 ダボダボのタキシードに身を包んだ少年は後部座席に横向きに座り、 警察をからかうように笑っている。 ところが、点在する警察署から飛んで来たのか。 前方に警察の四輪車による防壁が作られていた。 この速度で進めばあと1分もかからないうちに衝突してしまうだろう。 しかし、いくつもの車線が走るこの大通り。 対向車線との敷居にブロックがあり、曲がるポイントは無い。 「Xi、少し手伝って頂けますか」 女が言った。 少年は聞こえているのかいないのか、くつろいだ体制を崩さない。 バリケードまであと200m程度になったところで、 女はアクセルを踏み切った。 そのまま車は加速を続け、バリケードに配置されていた警官たちは慌てて車から降り始める。 女の髪は地面と平行に後ろに靡き、少年のネクタイも彼の肩を越えて吹き飛びそうな勢いだ。 「いくよ」 そう言うと、少年の二本の腕がバキバキと音をたてて伸び、ボンネットの前を掴んで上に引き上げた。 車の前半分がほんの少し浮いて、後部のタイヤからは火花が散る。 さらに少年はその体制のまま飛び上がり、足で地面を思い切り蹴った。 5mほど手前で車は飛び上がり、バリケードを越えて着地し、 そのまま何事も無かったかのように走り続けた。 後ろから車を追跡していた警察はバリケードで立ち往生し、 その時には車の姿はとっくに見えなくなっていた。 その後車は少し速度を落とし、夜の街を走った。 後ろのタイヤからは少し焦げ臭い匂いがする。 「今回の成果はどうだったのですか?」 女は後部座席に寝転がっている少年に言った。 「全然ダメだった。また次探さなきゃ」 少年は残念そうに溜息をつく。 車は橋に差し掛かり、広大な湖が現れた。 その湖面に、街の夜景が鏡のように映っている。 「へぇ、綺麗だなぁ」 少年は車体から乗り出して言った。 女は僅かに速度を落とし、できるだけゆっくり橋を渡った。 ガラスや血を体のあちこちに付けたまま、 深く澄んだ瞳で真っ直ぐに見つめる様は、如何とも形容し難い。 橋が終り再びビルに囲まれた景色に変わると、少年は体を車内に引っ込めた。 女は変わらない様子で運転を続ける。 「ねぇアイ、キスしてもいい?」 突拍子も無く少年が言った。 「運転中ですので」 扱いに慣れているのか、女は動じない。 「アイは運転してていいから。俺が上からほら、こうやって…」 少年は女のシートに捕まり、上から顔を逆さにして女を覗き込んだ。 「前が見えません」 同じように女は答える。 少年はふてくされた様に渋々と顔を引っ込めたが、 その後すぐに後ろから女の首に手を回した。 「これ邪魔だな」 少年はそう言うと女の座るシートの、頭を乗せる部分を引きちぎって外に投げ捨てた。 そうして女の肩に自分の首をのせ、周りに立ちそびえるビルを眺める。 まだ明かりのついた部屋の一つ一つに人影が見えて、中の様子が手に取るように分かった。 そして隣にある女の横顔を眺める。 女は相変わらず無表情で、少年のことも特に気にする様子は無い。 「アイ、じゃぁほっぺは?」 少年が言った。 女は横目でちらりと少年を見ると 「どうぞ」 と淡白に言った。 少年は女の頬にそっと唇を押し当てた。 そして少年は嬉しそうに笑った。 女もほんの一瞬少年の方に顔を向け、微笑んだ。 【完】
そういえば、ネウロのSSでサイとアイさんの組み合わせは読んだ事ありませんでした。っつか、ネウロのSS自体ほとんど読んだ事がなかったのでものっそ新鮮だったんですが…… やばいやばいやばい。この二人が幸せであればあるほど、サイのラストを思い出して 涙腺が緩む!( ̄□ ̄;)!! ちなみに、ぽっぽさんのメールを抜粋させていただくと 「1月7日。アイさんの誕生日です。 Xi(サイ)がXI(イレブン)から自我を取り戻した場面にあった、アイさんが運転してて、後ろでダボダボのスーツ着たXiという一枚絵からの妄想です。」 とあったので、22巻を読み返してそのシーンを確認したんですが、やっぱり涙腺が緩む!むしろ 涙腺が決壊する!( ̄□ ̄;)!! たまに読み返すんですが、やっぱりこの作品は完成度の高さが半端なく、サイとアイさんの関係はキセキが沢山詰ってるように感じます。 アイさんのプロフィールにあった「サイとの関係:日によって主人、子守、友人、恋人、兄弟、姉妹、他人のいずれか」を思い出します。 バタバタしてて、ご紹介するのが7日をはるかに過ぎちゃったんですが、 ぽっぽさん、ありがとうございました!☆(≧▽≦)☆! 銀魂SSと同じくらい堪能させていただきました♪