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2010年05月30日
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テーマ:銀魂(1187)



5月26日のミツバさん誕生日によせて、ぽっぽさんからSSを頂きました!

ちょっとやばいです。二人の関係がすげぇツボで泣きそうです。(ノд-。)ホロリ




【なまえ】


暖かい日がサンサンと降り注ぎ、地面の上に葉一枚一枚の影がくっきりと浮かび上がる。
最後の命を振り絞って蝉が鳴く。
その音に混じって竹刀と竹刀のぶつかり合う音と、気合の声が空気に溶け込んでいく。


人口密度の少ない道場にいる一人の老人。
その前で剣を振るう血気良い青年、少年、そしてその中間のような年頃の者、合わせて三人。
近藤勲、沖田総悟、土方十四郎である。
道場の外に生えている木下に一人の女が立っているのが、土方の視界に入った。
女は風呂敷包みを手に、じっとこちらを見つめている。
老人の合図で休憩に入ると、女はようやく道場に向かって歩き出した。
「姉上!」
総悟が女を見つけるなり言った。近藤も老人も女を出迎えた。
「そーちゃん、お弁当忘れていったから」
女は風呂敷包みを差し出した。
「この炎天下を歩いてきたんですか!?」
「大丈夫よ。ちゃんと日傘差してきたもの」
大人しそうな女だな、と土方は思った。
視線に気づいたのか、女は土方と目が合うと、軽く会釈した。
「あぁ、二人は初対面だったなぁ」
近藤が言った。総悟は土方を見て、チッと舌を鳴らす。
「初めまして。そーちゃんがお世話になってます」
ミツバはそう言って微笑んだ。
それに合わせ、土方は軽く頭を下げる。
その瞬間、脈絡無く、土方は総悟に竹刀で頭をはたかれた。
「そんな事しちゃダメでしょ、そーちゃん」
高飛車な態度の総悟もミツバの前だと恐ろしく素直だ。
再び振り上げた手を総悟は渋々とおろし、ギロリと土方を睨む。
普段ならすぐさまやり返してやるところだが、
総悟が大人しくなったので何もしなかった。
ミツバの前で総悟を殴らずにすんで、土方は内心ホッとしていた。

またこの炎天下を歩くのは良くない、と総悟や近藤にも言われて、
ミツバは午後の間ずっと隅で稽古を見ていた。
水を補給したりと、簡単な手伝いもしてくれた。


夕焼けに空が真っ赤に染まった頃、ようやく稽古が終わる。
老人と別れた後、流れで何となくそのまま、皆で近藤の家へと向かう。
近藤に強引に連れられて、土方、総悟はそのまま、半ば強制的に風呂に入った。
ミツバの姿が無いせいか。
扉の奥から激しく湯が飛び散る音と二人の怒鳴り声、そして近藤の笑い声がした。
その様子にミツバは一人、楽しそうに微笑む。
三人そろって出てきた姿は、まるで扉の向こうの出来事など
無かったかのようにとりすましていて、
それがミツバにはとても面白かったのだけれど、
折角頑張っている二人に悪い気がして、震える肩を必死に押さえた。
夕餉を馳走になった後も、皆で卓袱台を囲み、のんびりと、だが賑やかに過ごした。
片付けを手伝ってミツバが居間へと戻ると、畳の上で横向きに転がる総悟の姿があった。

「そーちゃんたら。御免なさい、近藤さん」
「構わんよ。なんなら二人共泊まっていけばいい」
ミツバはその申し出を丁重に断った。
そして総悟の肩をゆさゆさと、軽く揺さぶる。
「そーちゃん。起きて」
だが、総悟の目が開く気配は一向に無く、
頬を叩いてみても、もっと強く揺さぶってみても、結果は同じだった。
「疲れたんだろうなぁ」
近藤がまるで弟を見るような、そんな優しい口調で言った。
どうしたものか、とミツバがその場で座り込んでいると、
土方は無言で総悟を掴み、背中におぶった。
「送る」
ミツバは遠慮したが、他になす術も無く。
近藤にも説得され、見送られながら三人は家を出た。



夜にも関わらず、雲ひとつない空からの月明かりで、視界ははっきりとしていた。
三人の影がそれぞれの後ろに、くっきりとした輪郭を描いている。
二人は無言で歩いた。
聞こえるのは総悟の寝息と虫の声と、森で動く動物のたてる音が時々。

月明かりのせいか。
土方にはミツバの肌が昼間より、より一層青白く、透けてしまうかのように思えた。
着物からのぞく細い腕、細い首。
少し叩いただけで折れてしまいそうな体だ。
女とはこんなにも儚い生き物だったろうか、と土方は少し恐くなる。

そのまま夜の田舎道を歩いていると、ミツバが何度か咳き込んだ。
「風邪か?」
視線は前のまま、土方が言う。
ミツバは土方を一度見上げると、再び前を向く。
「私生まれつき体があまり丈夫じゃなくて。いつも咳は出るんです」
暗いとも明るいともいえない口調で、ミツバは答えた。
女の持つ儚さはそのせいだろうか、と土方は考える。
「十四郎さんはとっても元気そう。羨ましいわ」
ミツバはそう言って、笑った。

「名前で呼ぶな」
自分に向けられた女の笑顔が、あまりにも真っ直ぐに自分の瞳に入り込んで来て、
土方は戸惑い、意識しないうちに勝手な言葉を吐いていた。
半分怒ったような口調だった。
決してそんなつもりじゃ無かった。
ミツバは少し驚いた様子で、横から土方を見上げる。
「御免なさい、嫌でしたか?」
「い、いや。そういうわけじゃ…」
土方はモゴモゴと口を濁らす。
変わらず真っ直ぐな視線を送り続けるミツバを、土方は見返すことが出来ない。
不自然に切れた会話に耐えられなくて、頭の中で言葉が浮かんでは消えていく。
横下からの視線に首を締め付けられているような気分だった。

「とても素敵な名前ですよね」
不意にミツバが言った。
「私は十四郎さんて呼びたいわ」
土方の頭の中で回っていた言葉は、全て砕け落ちた。
ためらいがちに横目でミツバを見ると、その顔は微笑んでいた。
土方は少し間を置いた後、小刻みに二、三回頷いた。
「私のことも名前で呼んでください。名字だとそーちゃんと被っちゃうから」
土方はまた、頷いた。


「…綺麗。吸い込まれそう」
ミツバは両腕を軽く開いて、天を仰いだ。
それに連られて、土方もまた空を仰ぎ見る。
雲ひとつ無い空に、無限の世界が広がっている。
今にも月光でかき消されそうな、儚い星の輝きが
全てミツバの瞳に吸い込まれているように思えた。


やがてミツバの家に到着すると、
手早く布団を敷いて、その上に総悟を下ろした。
上から布団を掛けてやる前に、眠ったまま総悟は自分でそれを探し出し、
みの虫のようにくるまると、再び静かな寝息をたてる。
「じゃぁ…」
土方は玄関に向かい、草履に足をはめ込む。
見送りに来たミツバを振り返ると、何を言うでもなく、ただその顔をじっと見る。
「私の顔に何かついてますか?」
「…いや、その…」
土方はそう言って結った髪の根元の辺りを、無意識に掴む。
「何でもない」
ミツバはただじっと待っていたが、土方はそれだけ言うと、家を後にした。

門を通り、そのままもと来た本日二度目の道を辿って、歩き始める。
ミツバは玄関に立って、静かにそれを見送る。
もうすぐその後姿も見えなくなろうかという頃、
土方は立ち止まり、振り返るとミツバの方へと戻ってきた。



「ミツバ」
歩にして十。それが二人の距離。
土方は今度こそ、正面からミツバを見た。
「はい」
ミツバはただ一言、そう答えた。
土方の口元も、僅かに微笑んだように思えた。
「お休みなさい、十四郎さん」
本日四度目の道を歩く背中に、ミツバは声をかける。
土方はもう振り返らなかったが、代わりに右手を軽く挙げて、またすぐ降ろした。
その背中はやがて見えなくなり、ミツバは家に入った。






【完】







うっかり、アニ魂の回想シーンでスイカを軽々持ち上げてたミツバさんを思い出しちゃうんですが(笑)
ちょっとねー、あんまこの頃の二人がかわいいと、15巻16巻を読み返したときに滂沱の涙と化しちゃうのがやっかいなんですよねー。

……まあ、だからと言って不幸にしろとは言いませんが、ハッΣ(゚ロ゚〃)、いや待て!それはそれでツンデレ的にはありなのか?←待て

以下、ぽっぽさんの後書きです。

「ミツバさんはどうして「十四郎さん」呼びなのかなぁ
って考えてたのが始まりです。
てことは近藤さんも「勲さん」呼びだったのかな?
そしてまぁ、土方さんは当然「ミツバ」だと思うんですよ。

土方さんの頭の中で、いきなり呼び捨てていいのかみたいな葛藤がもっと描けたらもっと楽しかったんだけど。
如何せん力不足でしたorz
何かこのSSだと既に土方さんがべた惚れみたいに見えますね笑
私にもよくわかりません(ォィ)
原作のあのシーンが初対面だったのかどうか、
よく分からなくて捏造してしまいました゜∇^*) テヘ
でもこの二人は、初対面からお互いに何か感じるものが絶対あったと思うんだ!!ヾ(>∀<○)ノ〃」


はいはいはい!

土方さんはミツバさんにべた惚れ で全然いいと思います!( ̄‥ ̄)フンッ

もうそれ以外考えられません。それでこそのトシミツだし!!←落ち着け

と興奮しきりっていうかー。
まあ、ぽっぽさんのSSを読むといつもテンションダダ上がるんですが(笑)

ぽっぽさん、ありがとうございました!☆(≧▽≦)☆!

ぽっぽさんの素敵ブログはこちらです。→【popponoblog】


SSはこちらにまとめてます。⇒【頂き物(ss)】



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最終更新日  2010年05月30日 13時26分06秒
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