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テーマ:愛犬のいる生活(75730)
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初めて飼ったワンコは、グレーのトイ・プードルだった。
写真は一枚もない。 どん「なんていう名前だったの?」 俺「プチ、女の子だよ」 飼っていたのは、フィリピンの首都マニラに住んでいた時だった。 俺は16歳から4年間、親父の仕事の都合によりマニラで暮らした。 どん「へぇ~、どんな国なの?」 俺「一年中、朝から晩まで暑いんだ」 家の敷地内に、親父のビジネス・パートナーの軍人が事務所を開いていた。 彼の趣味がトイ・プードルのブリーディングだったのだ。 産まれた中から好きなのを選んでいいと言われ、一番小さい仔をもらった。 手のひらに乗るほど小さくて、ネズミみたいだった。 どん「その頃、トイ・プードルはめずらしかったでしょ?」 俺「そうだよ、俺も初めて見たワンコだったよ」 当時、フィリピンには巨大な米軍基地があり、アメリカ人たちがペットとして、いろんなワンコを連れて来ていた。暑い国なので、冷房の利いた部屋で飼う室内犬が多かったのだ。 どん「プチはお散歩には行かなかったの?」 俺「広い庭があったから、朝と夜は庭で遊んでたよ」 人件費が安かったので、住み込みのハウス・メイドを数人雇っていた。 プチの世話も、ほとんど彼女たちがやってくれた。 でも、プチは困った時には絶対に俺のところに走ってきた。寝るのも一緒だった。 どん「グゥゥゥ~」 俺「寝ちゃったのか?」 2度目のヒートが終わった頃に、中学校のクラス会に出るために日本に帰った。 高校の卒業式を覗いたりもした。 そして、マニラに戻る時には高校一年の頃に付き合っていたガール・フレンドも一緒だったのだ。半年後には、できちゃった結婚。初代のヨメだ。 彼女もプチのことをメチャメチャ可愛がっていた。 俺「起きていたのか?」 どん「聞いてるよ」 俺は19歳で父親になってしまった。 家族の目は、プチから赤ん坊へと移っていく。 プチも赤ん坊を気にしていたが、もちろん遊ぶ事はさせなかった。 しだいに、プチと遊んでやる時間も少なくなっていた。 そして、ある日の朝、庭で遊んでいたはずのプチがいなくなっていた。 ゲートのドアが、わずかに開いていたのだ。 とにかく探した。ひたすら探した。懸賞金をかけて、ビラを作った。 だが、プチは二度と戻って来なかった。3歳だった。 悲しかった。もうワンコは飼わないとさえ思った。 しかし、今では三代目が側にいる。 俺「お前は、プチの分まで俺と一緒にいるんだぞ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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