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「名犬どん」危機一髪

「名犬どん」危機一髪

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どん517

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Feb 1, 2006
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カテゴリ:カテゴリ未分類
初めて飼ったワンコは、グレーのトイ・プードルだった。
写真は一枚もない。

         0201-1
 どん「なんていう名前だったの?」
  俺「プチ、女の子だよ」

飼っていたのは、フィリピンの首都マニラに住んでいた時だった。
俺は16歳から4年間、親父の仕事の都合によりマニラで暮らした。

         0201-2
 どん「へぇ~、どんな国なの?」
  俺「一年中、朝から晩まで暑いんだ」

家の敷地内に、親父のビジネス・パートナーの軍人が事務所を開いていた。
彼の趣味がトイ・プードルのブリーディングだったのだ。
産まれた中から好きなのを選んでいいと言われ、一番小さい仔をもらった。
手のひらに乗るほど小さくて、ネズミみたいだった。

         0201-3
 どん「その頃、トイ・プードルはめずらしかったでしょ?」
  俺「そうだよ、俺も初めて見たワンコだったよ」

当時、フィリピンには巨大な米軍基地があり、アメリカ人たちがペットとして、いろんなワンコを連れて来ていた。暑い国なので、冷房の利いた部屋で飼う室内犬が多かったのだ。

         0201-4
 どん「プチはお散歩には行かなかったの?」
  俺「広い庭があったから、朝と夜は庭で遊んでたよ」

人件費が安かったので、住み込みのハウス・メイドを数人雇っていた。
プチの世話も、ほとんど彼女たちがやってくれた。
でも、プチは困った時には絶対に俺のところに走ってきた。寝るのも一緒だった。

         0201-5
 どん「グゥゥゥ~」
  俺「寝ちゃったのか?」

2度目のヒートが終わった頃に、中学校のクラス会に出るために日本に帰った。
高校の卒業式を覗いたりもした。
そして、マニラに戻る時には高校一年の頃に付き合っていたガール・フレンドも一緒だったのだ。半年後には、できちゃった結婚。初代のヨメだ。
彼女もプチのことをメチャメチャ可愛がっていた。

         0201-6
  俺「起きていたのか?」
 どん「聞いてるよ」

俺は19歳で父親になってしまった。
家族の目は、プチから赤ん坊へと移っていく。
プチも赤ん坊を気にしていたが、もちろん遊ぶ事はさせなかった。
しだいに、プチと遊んでやる時間も少なくなっていた。
そして、ある日の朝、庭で遊んでいたはずのプチがいなくなっていた。
ゲートのドアが、わずかに開いていたのだ。
とにかく探した。ひたすら探した。懸賞金をかけて、ビラを作った。
だが、プチは二度と戻って来なかった。3歳だった。
悲しかった。もうワンコは飼わないとさえ思った。

しかし、今では三代目が側にいる。

         0201-7
  俺「お前は、プチの分まで俺と一緒にいるんだぞ」





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Last updated  Feb 1, 2006 06:23:38 PM
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