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約1000匹が棲む町で畑荒らされ辞める農家も
「高齢者の“心”守りたい」 と一体になって取り組む“サルのスペシャリスト” 新潟放送 5/17(水) 17:16配信 【9分01秒の動画有り】 【以下転載】 5月になって農作業が本格化する中で、農業関係者の頭を悩ませているのが、“サル”などの野生動物による被害です。 新潟県内で最もサルの被害が大きい「阿賀町」では、住民主体の対策が進んでいました。取り組みの最前線で活動する『サルのスペシャリスト』を取材しました。 【写真を見る】約1000匹が棲む町で畑荒らされ辞める農家も「高齢者の“心”守りたい」と一体になって取り組む“サルのスペシャリスト” バイクや車が走る阿賀町の国道459号のそばはサルたちの“縄張り”です。 あちらにも、こちらにも…、佇むサルの姿が見られます。 「声を出しても、叩いたりしても、やっぱり逃げない。かなりもうここに慣れ親しんでしまって、居着いているサル…」 阿賀町に住む波多野健治さんは、“サルの専門家”として、阿賀町からサルなどの野生動物の被害に対応する業務を請け負っています。 山林面積が新潟県内で2番目に大きい阿賀町には、980匹以上のサルが生息していて、「農業被害」が特に深刻です。 サルが荒らした畑をよく見ると、大根の甘い部分だけを食い散らかしているのが分かります。 新潟県によりますと、阿賀町のサルによる農業被害は2019年から2021年まで毎年300万円を超えていて、県内の自治体の中で最も被害が大きくなっています。 【波多野健治さん】 「人を恐れなくなったサルが集落の方に行くと、集落付近の畑や縁側、ベランダなどに干してあるものを取って食べてしまったり…」 実際に阿賀町で去年サルの被害に遭ったことのある遠藤佐(たすく)さんにもお話を伺いました。 【遠藤佐さん】 「トマトは赤くなったものは全部やられて、青いのだけ残していく。トウモロコシは熟したやつは全部取られて食べられて、悔しくてしょうがないっていう…」 実は遠藤さんの畑の周りには、草が生えた耕作放棄地が点在しているそうです。 【遠藤佐さん】 「元々は十何件も農家がいたんだけども、みんな辞めちゃって…。歳のせいもあるんだけど、サルにやられて苦労しても何も収穫がないので、と辞める人も」 阿賀町によると、サルの被害が増え始めたのは20年ほど前から。 人口減少や高齢化による耕作放棄地の増加、狩猟者の減少などが主な要因です。 サルによる被害というのは「単なる直接的な農業被害だけに留まらない」と、阿賀町では被害の深刻さを実感しています。 【阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん】 「サルの被害があるとせっかく育てた作物が全滅してしまうので、高齢者にとって張り合いにもなっているはずの農作業が、もう一気にやる気がなくなっちゃうんですよね。そうすると、お年寄りの元気がなくなって病気がちになり、ひきこもりがちになり、保険とか福祉にかかる町の経費が上がってしまう…」 そこで阿賀町は、“サルの専門家”波多野さんへのサル被害に対応する業務委託など、新潟県内の自治体で最大規模となる年間4300万円ほどの有害鳥獣対策費を今年度の予算に盛り込みました。 その中でひとつの柱となるのが、阿賀町の町民限定のアプリです。 農業被害を出すサルの位置が確認できる「サルの群れが分かる地図」です。 【阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん】 「このアプリ上に、サルの群れがここにいるよという“位置情報”を表示していて、『今この位置にいるサルが次はここに行くんだよ』という行動予測がある程度できるようになっている」 アプリに表示されたサル顔のマークは「群れの直近の居場所」を、足跡のマークはこれまでの「移動経路」を示しています。 サルの位置を把握することで、住民は事前の対策がとれ、行政はサル捕獲の罠を効率的に設置できるようになります。 また阿賀町では、人里に降りてくる約30のサルの群れの全てに「GPSの首輪」を装着しています。他にもこのシステムを導入している自治体はありますが、これほどの規模は珍しいと阿賀町では言っています。 有害鳥獣対策を専門とするNPO団体に勤務していた“サルのスペシャリスト”波多野健治さんは、サル被害に悩む阿賀町から2015年に誘われ、阿賀町の「地域おこし協力隊員」になりました。 そして任期を終えた後も、自身の活動の拠点を阿賀町にしているそうです。 阿賀町では、波多野さんが地域おこし協力隊として赴任してから、サルへのGPSの取付作業は行なわれています。 波多野さんは、力の強いサルにGPSを取り付けるのに一般的な、コストと手間のかかる麻酔銃を使わないそうです。 【阿賀町有害鳥獣係 江花一実さん】 「波多野さんには技術と経験がありますので、サルを生きたまま捕獲し『動きをおさえて、首輪をつけて、すぐその場で放獣する』という…。非常に効率的にこのシステムの維持ができている」 阿賀町がサル対策で大切にしているのは、駆除ではなく電気柵の設置などによる“住民主体”の防衛です。 去年、サルの被害にあった遠藤佐さんの畑にも、電気柵が設置されていました。 設置の指導は、波多野さんの仕事のひとつでもあります。 【波多野健治さん】 「駆除ばかりしていても、被害がなくなることはない。農作物を食べにくるサルをどうにかするよりも、その食べ物自体をしっかりと管理しておけば、サルにとって“降りてくるメリット”がなくなる」 住民にとっも、専門家の波多野さんが町に常駐しているので、気軽に相談できる体制が整っています。 【遠藤佐さん】 「最初の設置はやっぱり専門家に指導してもらわないと素人には難しい。サルの習性はよく聞いておきたいですよね。どんな時に気をつけたらいいのかとか」 野生動物を相手にするには「住民と行政と業者が一体となった獣害対策が必要だ」と波多野さんは強調します。 【波多野健治さん】 「見つけた当人が、その場で一番すぐに動けるんですよね。住民自ら対策を行っている所と、業者や行政に任せてというニュアンスでやってる所とでは、その対策のレベルの差がものすごく違う」 実際に、波多野さんの取り組みによって被害が軽減した地域もあります。 これまで集落の関係者が持ち回りで畑の見回りをしていた阿賀町の船戸集落では、波多野さんの指導で畑全体を電気柵で囲った結果、被害が年間で130万円ほど減ったということです。 【船戸集落 伊藤昭一さん】 「電気柵の効果っていうのはあります。楽になくなったというかね、見回りとかしなくていいから」 波多野さんが阿賀町に来た2014年当時に、年間約400万円だったサルによる農業被害額が2021年には370万円になるなど、少しずつ成果が見え始めています。 波多野さんは去年、農林水産省から表彰を受けました。 サル対策を続け、GPSを使った効率的な追い払いや地域住民らへの指導が評価されました。 【波多野健治さん】 「小さい畑でも、やっぱりそういうのを楽しみにしているおじいちゃん・おばあちゃんの“心の被害”というのを一番守ってあげなくちゃいけないって、阿賀町に来て思いましたね」 行政と住民と波多野さんが一つになって行われる、阿賀町での取り組み。 同じ課題に悩む他の自治体にも広がるかもしれません。 新潟放送 【転載ここまで】 サルも生きるのに必死なだけで・・・ 駆除ではなく住民主体の防衛策を講じて徐々に効果を上げていく方法は 猿にとっても住民の心にとっても優しいやり方なのではないだろうか? 今日は各地で気温が上がったようである 常日頃 プールの室温31度~39度 水温31度~32度の中で鍛えられて(?)いるのでお外の暑さが気にならないのは幸せなのか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年05月17日 23時18分44秒
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