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2006/03/05
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テーマ:お勧めの本(7171)
今回の

P.G.ウッドハウスの「それゆけ、ジーヴス」

「比類なきジーヴス」以前に書かれたものも再収録した形の短編集「Carry on, Jeeves(1925)」の翻訳で,「よしきた、ジーヴス」よりは前の作品ということになる。

ジーヴスをはじめ,その後もいろいろなエピソードを残すキャラクターの登場シーンが見られて楽しい。
以下,話の内容をまとめているので,ネタバレがけっこうあります(バレていても,読む楽しさはあまり変わりませんが……)。

1 ジーヴス登場(「ジーヴズの初仕事(事件簿のタイトル)」)
ウースターシャーのイーズビー荘でウィルビー伯父の原稿を出版社に送るのを阻止できず,フローレンス・クレイとの婚約が解消に。
怒り狂うバーティーだが,翌朝にはコロッと気分が変わる。

市松模様のスーツ→バーティーが処分を命ずる前にジーヴスがウィルビー伯父の庭師に与える。

ロンドンの仲介所からきたジーヴスを,彼の特製ドリンクを飲んだとたんに採用し,それ以降このコンビが続く。

フローレンスはアガサ伯母と気脈を通じた「気の強い」女性。バーティーにとって,何かを迫られると断りきれないタイプの女性ともいえるが,彼の場合,どんなタイプの人から迫られても断りきれないともいえる。

フランスに行ってしまって本書では名前しか登場しないフローレンスの父は,のちのちとんでもない設定で再登場する。


2 コーキーの芸術家稼業
ニューヨーク滞在中,売れない似顔絵画家のコーキーとコーラスガールのミュリエルの結婚をコーキーの伯父アレクサンダー・ウォープルに認めさせようとジーヴスの知恵を借りる。
「鳥の本」をでっち上げるというアイデアは成功したが,ミュリエルはアレクサンダーと結婚。
生まれた赤ん坊の似顔絵をかいたコーキーに伯父は激怒するが,ジーヴスのアイデアでコーキーは売れっ子の漫画家に。

細い赤縞入りの紺のスーツ→茶色のスーツに負けてお蔵入り

このころのバーティーのジーヴスへの信頼はほぼ無条件だったなあ! となぜか感動。

困った状態に陥ることを表すのに,バーティーは「スープに浸かる」という表現を好んで使う。
また,ジーヴスの情報源の1つにニューヨークの薄い壁であることも判明(要するに立ち聞き)。

なお,ここに登場するガッシーは「よしきた」のガッシー・フィンク=ノトルとは別人で,ガッシー・マナリング=フィップス
この作品(2)から「5 伯母さんとものぐさ詩人」までは,バーティーがニューヨークに滞在中の出来事である。

「ガッシー救出作戦(「ジーヴズの事件簿」に収録)」(ただし,ジーヴズはほとんど出てこないし,バーティーの姓もウースターではなく,マナリング=フィップス)で,バーティーはアガサ叔母の指示によりロンドンからニューヨークに渡る。
従兄弟のガッシーとショービジネスのスターであるレイとの結婚を阻止しようとしたバーティーだが,自分の手におえず,典型的な「英国貴婦人」でるガッシーの母親ジュリア叔母をニューヨークへ呼ぶ。
ところが,ジュリアはもともとショービジネスの人であり,レイの父親はジュリアのかつてのパートナーと判明。
1組を阻止するはずの結婚が2組になり,バーティーはアガサおばが怖くてイギリスに帰ることができなくなってしまうのだ。


3 ジーヴスと招かれざる客
ニューヨーク滞在中(この時点で少なくとも1年は経過)。

伯母が送り込んできた母子。母の取材旅行中に面倒を見ることになった子,モーティが,はめを外しすぎついに刑務所に。
取材旅行から戻った「母」に問いつめられ,ジーヴスが助け舟を。

バーティーがジーヴスに抵抗して痛い目を見る最初(?)の話。

バーティーがブロードウェイ・スペシャル(帽子)にあくまでこだわる。
→ジーヴスは翌朝,朝食前に来客を通す。
→バーティがピンクのネクタイにこだわる。
→「疫病神」に困ったバーティーをジーヴスが無視。
→そのまま放置するが,最後の最後にモーティが刑務所に入った理由をでっち上げて助け舟を出す。
→ピンクのネクタイとブロードウェイ・スペシャルは処分。ホワイトハウス・ワンダー(帽子)を買うことに。
→モーティの逮捕のきっかけがジーヴスとの賭けだったことがあかされ,ジーヴスは100ドル(50ドルはモーティに)をもらう。

このころのジーヴスの「こらしめ」はまだまだ穏やかだなあと感じた。問題点が服装に関することだけだったのと,最後にお金をもらえることがわかっていたからかもしれないが……


4 ジーヴスとケチンボ公爵
あいかわらず,ニューヨーク滞在中。コロラドの牧場ではたらいていることになっているビッキーをたずねて,伯父チズウィック公爵がニューヨークにくる。握手で金を稼ぐというアイデアは失敗するが,最後にコーキーは年収500ポンドを条件に伯父とともに英国に帰る。

口ひげ→「ごほうび」としてバーティーが自発的にそり落とさせる。


5 伯母さんとものぐさ詩人
まだまだ,ニューヨーク滞在中。イリノイ州に住む伯母からニューヨークで暮らしてその生活ぶりを報告するように求められたロッキーにかわり,ジーヴスが夜の街に出かける。ロッキーの手紙の効果がありすぎて,伯母がニューヨークにやってきて,バーティーはホテル暮らし。
ジーヴスが彼女を改良主義者の集会に参加させて解決。

服装上の大きなもめごともなく,バーティーはジーヴスを絶賛。

以上でバーティーのつらい(?)ニューヨーク暮らしはおしまい!!

6以降についてはその2に続きます。

しかし,ジーヴズものについては,書くたびに長くなっているような気がする。ちょっと反省(笑)

「比類なきジーヴス」の日記は,→こちらから,
「よしきた、ジーヴス」の日記は,→こちらから,
「ジーヴズの事件簿」の日記は,→こちらから,
ジーヴズは執事? 従僕?の日記は,→こちらから,
「ジーヴズオムレツを作る」の日記は,→こちらからどうぞ。

登場人物と関連ホームページをフリーページのウッドハウスメモ(ジーヴズシリーズ)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。
ウッドハウスの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (ウッドハウス)からごらんください。



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Last updated  2006/03/05 08:16:01 AM


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