またまた,いろいろな騒動に巻き込まれるバーティー,ということは………
P.G.ウッドハウスの「ウースター家の掟」
(The Code of the Woosters,1938)
を読んだ。
語り手である「僕」がまとめているように,今回は,ガッシーとマデライン,そのパパであるサー・バセット,マデラインの従姉妹スティッフィーとスティンカー牧師,18世紀のウシ型クリーマー,そしてガッシーが落とした茶色の手帳に関わる事件である。
そして,その裏には世界一周旅行に行きたいジーブスと行きたくないバーティーの勝負の見えた(笑)暗闘もある。
よくもまあ,悪いほうへ悪いほうへと行くものだという感じで事件は展開していくのだが,いちばんの強敵はサー・ワトキン・バセットとその友人で,客としてグロースターシャーのトトレイ・タワーズに滞在しているロデリック・スポード。
サー・ワトキンは,ボートレースの夜に警官のヘルメットをとろうとしたバーティーに5ポンドの罰金を科した人物であり,その顛末は,
それゆけ、ジーヴス(P.G.ウッドハウス)-その2-の「7 刑の代替はこれを認めない」をごらんください。
今回は,地元の巡査のヘルメットを盗んだというぬれぎぬというか,自分から水を浴びた罪でバーティーが逮捕されるところまで行ってしまうのだが,これすべて,
「汝,友を落胆させるべからず」
「汝,女性の求愛を拒絶するなかれ」
という,「ウースター家の掟」のよってもたらしたものである。
逮捕されたのち,事態は急転直下解決に向かい,ついにはウシ型クリーマーまで無事奪還することができるのが,ここで見逃せなかったのが,ダリア叔母さん。
彼の放免と引き換えに大事な大事なコックのアナトールをサー・バセットに譲ろうとまでしたの心意気には思わず涙(までは出なかったが,笑)。
「ワレ壜を食い破り有刺鉄線を素肌にまとっている」アガサ伯母さんだったら,そうはしなかっただろうなあ。
今回のジーヴスは,出し惜しみをしていたのか,前半はあまりたよりにならなかったが,スティッフィーの婚約をサー・バセットに認めさせたことと,強敵ロデリック・スポードの弱点を見つけたことで大功績。
それにしても,「ユーラリー」の秘密のオチはおもしろかった。ジュニア・ガニュメデスクラブの面目躍如といったところか……。
国書刊行会版についての日記はそれぞれ,
「比類なきジーヴス」,
「よしきた、ジーヴス」,
「それゆけ、ジーヴス」からどうぞ。
P・G・ウッドハウス選集(1)
「ジーヴズの事件簿」の日記は,
→こちらからどうぞ。
ジーヴズは執事? 従僕?の日記は,
→こちらから,
「ジーヴズオムレツを作る」の日記は,
→こちらからご覧下さい。
「エムズワース卿の受難録」の日記は,
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登場人物と関連ホームページをフリーページのウッドハウスメモ(ジーヴズシリーズ)に簡単にまとめてありますので,ごらんください。
ウッドハウスの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (ウッドハウス)からごらんください。
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