ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ長編22作品中1作目にあたる
カーターディクスンの「黒死荘殺人事件」
(The Plague Court Murders,1934,平井呈一訳)
を読んだが,タイトルとしては「プレーグ・コートの殺人」のほうが一般的だろう。
事件が起こった1930年9月を回顧するという形で書かれていて,事件そのものはカーター・ディクスン名義の1作目「弓弦城殺人事件(日記は
→こちらから)」(1931年の設定)より古いことになっている。
ロンドン博物館の館長が「弓弦城」,「赤後家の殺人(日記は
→こちらから)」に出てくるジョージ・アンストラザー卿ではなく,リチャード・ミードブラウン卿となっているのも納得である。
しかし,この本(講談社文庫,1977年)は訳者が怪奇文学系の人(中島河太郎解説による)ということもあってか,最初のうち(というか半分を過ぎるまで)非常に読みにくかった。
H・Mの特徴である「文法を無視した言葉遣い」と「毒舌家で饒舌」で「猥談の大家」であることを日本語で表現しているらしく,なんともべらんめえ(というかブロークン)かつ下品で,調子が狂ってしまった(まあ,途中で慣れたが,笑)。
岩塩で作った銃弾が凶器などと,若干ついていけない部分はあるが,密室殺人の謎といい,17世紀のペストの大流行時代に起因する怪奇話といい,じゅうぶんに楽しめるものだった。
第1作ということで手探りだったのか,H・Mにマイクロフト(ホームズの兄)というあだ名があって本人がそうよばれるのを嫌っているというくだりがあったり,中国公使館からきたフー・マンチョー博士(→
こちらの日記参照)を追い返して北京へ謝罪の電報を打つなどというくだりがあったりして,なかなかおもしろかった。
カーター・ディクスンの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (カーター・ディクスン)からごらんください。
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