232044 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

人生3万日しかない(土曜日)

人生3万日しかない(土曜日)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2014.06.09
XML
カテゴリ:哲学

【送料無料選択可!】哲学入門 (ちくま新書)[本/雑誌] / 戸田山和久/著

201406101055_2880_iphone.jpg
1.この本の狙い

唯物論的・発生的・自然主義的観点からの『哲学入門』。

※俺の以前の読書感想文「認識論を自然化することの意義と問題点」/「知識の哲学」を読む
今、読んだら自分でも理解できない箇所多々。この本を読み終わったら理解できるようになっているだろか。

存在もどき(意味、機能、自由、目的などのありそうでなさそうで矢っ張りありそうな概念)をなんとか唯物論モデルに描き込みたいというのが狙い。その狙い引用をコピペ。

最初、この世には生きものはいなかった。そのときは、この世で起こることを理解するには物理的スタンスで十分だ。ところが化学反応のスープの中から、生きものと呼べるような独特のシステムが生じてくる。そうなると、たとえば機能とか目的の原型のようなものがこの世に生じる。

この目的なるものは、最初はシステムにつくりつけになっている。つまり、システムは実現できる目的しかもたないし、その目的をいつでも直ちに実現しようとしてしまう。そういうつくりになっている。たとえば、カエルの「食べる」を目的としたシステムは、目の前に黒い小さな点(たいていはハエ)が現れると自動的に舌を伸ばして食べてしまう。いくら満腹してもそれは止まらない。ところが、そのうち、目的はやや独立してくる。つまり、果たされない目的をとりあえずもっておくことができるようになる。これが欲求の始まりだ。そして、この果たされない目的はさらに進化して、しまいには倒錯して「人生の目的」なるものに至る。

こんな具合に、人生に大切な存在もどきたちが、そうでないもの(原機能、原目的、原意味、原価値、原自由エトセトラ)から徐々に「湧いて出た」過程を再構成することによって、一枚の絵に存在もどきを描き込もうという寸法だ。


また、著者は「心」についても面白い指摘をしている。上のコピペ元記事からコピペ。

心をもつ、というのは何ができるかという機能の問題ではない。機能を高めていろんなことができるようにしていけば心をもつようになるというわけではない。人間にはまねのできない知的なことを行う人工知能が心をもたない一方で、ほとんど知的なことは何もしない原始的な生命だって原始的な心をもっている。心をもつもたないは、機能ではなく、その機能が何のためにあるか、つまり機能の目的の存在様式の問題なのである。

まとめると、ロボットに心をもたせるためには次のような設計をしなければならない。

1.環境の中で適切な行動をとらなければ自己を存続させられない仕組みになっていること。たとえばバッテリーが切れるとプログラムが壊れるとか、高所から落ちると壊れるとか。
2.自分のプログラムを書き換えて、変化する環境に適した行動の幅に広げることができる。
3.うまく自己を存続させたときにだけ、自己と同じものを複製することができる。

これは、ようするにロボットが生きものに似たあり方をしていなければならないということである。つまり、ロボットは心をもち、十全な意味の理解をもつ前にまず生きなければならない。


はは、今、コピペして分かったけれど上のコピペした文章は存在もどき「心」の唯物論的・発生的・自然主義的観点からの説明なのだ。人間も含めて全ての生命には「心」がある。著者によると、こうしたアプローチが認知科学だそうだ。

というわけで、意味とは何か、意味を理解するとはどういうことかという問いは、生きものが生存するために何かをする、という場面でこそ適切に問われるべきだということがわかった。「生きものが何かする」ということは、つまりは次のようなことだ。外界の状態について感覚器官から情報を取り入れ、その情報を処理して、外界の状態にうまく対処するための行動を生み出す。ま、ようするに、ハエが飛んできた。食べる。敵がきた。逃げる。といったことだ。こういった一連のプロセスを「認知(cognition)」と呼んだりする。そして、この認知がどんなメカニズムに支えられて、どんな風に進んでいくのかを研究する分野は「認知科学」と呼ばれる。


※この本の読書ノートをツイートしている人を発見したのでリンクしておく。

2.意味の自然化

ルース・ミリカンの目的論的意味論:
(1)「本来の機能」という概念で表象間違いを説明する
(2)「本来の機能」を自然化する「本来の機能」は、
   人工物であれば制作者の意図によって定まる。生物であれば、進化論で説明される
(3)本来の機能の自然化を、意味の自然化に当てはめる
 

例:猫トムにとってのネズミの表象
トムの表象Xがネズミを意味する⇔トムにXが存在しているのは、トムの学習の歴史において、Xが「ネズミ捕食や狩りの練習を引き起こす」という効果を果たしたことが、Xの選択をもたらしたことの結果である

※自然主義について俺は以前になかなか良いまとめ表現しているのを思い出したのでコピペしておく。

人間における帰納は動物における学習の延長線上にあり、更にはその有用性は進化論でいう自然淘汰によって歴史的に証明されているというのである。こういう考え方を自然主義といい、これが認識論の自然化の一端だと理解した次第である。

※ところで、ここまで読んで疑問メモ。こうした存在もどきの唯物論化・発生化・自然主義化がいったい、何の役に立つのだろうか。また、発生化(生命一般レベル)の前に人間レベル(言語、社会)でのブレークダウンが必要なのではないだろうか。存在もどきは言語や社会によって生み出されたように考えるのだが。

3.機能の自然化

バイオマティクスなる言葉がチラッと出て来るが、これ重要。

生命現象を記号とみなし記号論的手法によって、生命の意味、価値を解釈しようとする研究分野。まだ確立された学問ではなく、未来に向けて模索されている新しい記号論の試みである。
生命現象の基本的作用、細胞、分子の作用そのものを記号的作用と考える方向と、生命体の総体的機能を記号過程と考えようとする方向とがある。前者においては、例えば、ホルモンの代謝(ホルモンは往々「分子言語」・・262 とよばれる)、DNA配列の遺伝情報表現の記号性が追求され、また、後者においては、生命作用は、究極において、生命体の、環境に対する記号的適応行動であるとする、一つの文明論的解釈が現れる


さて、機能の自然化。「起源論的説明」がキーワードである。

意味とか機能とか目的とかというのは、「今そこにないもの」との関わりがあるという点で似ている、と。
ミリカンは、機能を起源論的に説明する
あるアイテムが「いまやっていること」ではなく、アイテムの歴史によって、機能を説明する。
人工物であれば作者の意図、生物であれば進化というように。
ミリカンがここで説明したい機能というものは
・同じ機能をもっているメンバー同士が、同じ性質を共有していなくてもいい(缶切りは、缶を開けるために作られたなら、どんな素材でも形でもいい)
・機能を現に果たしていたり、可能でなくてもいい(心臓は、疾患によって機能不全に陥っても、心臓である)
このような特徴のある「機能」というものを、統一的に説明できるのが「起源論的説明」
こういう理論は、雑多な現象を統一的に説明できるので、よいとされる
ミリカンの起源論的説明に対して、カミンズの因果役割的説明というライバルがいる
これはシステム全体の中でどのような役割を果たしているかによって、機能を説明する
しかし、因果役割的説明では、ミリカンが作りたい、実際にはそういうことができないもの(全然缶を切ることのできない缶切りとか)を含めた理論としては役に立たない。
ミリカンの説明とカミンズの説明は、どちらが正しいか、というよりは、目指す目標が異なる。


と、ここで自然主義哲学で大事なのは概念分析ではなくて概念の理論的定義とミリカンは言う。(戸田山は更に概念工学を提唱している)

戸田山氏は古典的な分析哲学がやってきたとされる「概念分析」に代え、大事なのは事象そのものを解明する理論構築で、むしろ哲学者の仕事は概念を作ること、概念工学だと主張する。

「概念分析」は以下のようなものだと言われている。

知識や意味のような概念の必要十分条件をあげる。
思考実験など仮想的なケースと直観によってテストされる。
日常概念の分析であり、日常概念と一致していることが求められる。

ただ、これは哲学者の仕事の自己理解としてもまずいし、そんなことより理論構築が大事だと批判される。岩石学に必要なのは、岩石という日常概念の分析ではなく、理論的定義だ。哲学においても、理論的定義があればよいはずだと。


201406101023_0581_iphone.jpg

戸田山和久『哲学入門』読書ノート(2)に続く。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.06.12 04:13:52
コメント(0) | コメントを書く
[哲学] カテゴリの最新記事


PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

土曜日7654

土曜日7654

Calendar

Rakuten Card

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

土曜日7654@ Re:ノヴェンバー・ステップスとユニクロと吉田秀和(03/04) あ、こんなところまでわざわざ。こちらこ…
nomomania@ Re:ノヴェンバー・ステップスとユニクロと吉田秀和(03/04) 拝聴させて戴きました。 この度は本当にあ…

Freepage List

Headline News


© Rakuten Group, Inc.