駄文

これまでに2ちゃんねるにカキコさせていただいた駄文です。
掲示板にカキコしたレスなので、「読み物」としてはイマイチなのです。
歩合給セールスの世界に興味のある人、営業やってるけどいまいちパッ
としない、と悩んでる人の役に立てればと思うのであります。

用語の説明
DQN:「劣悪な」「しょーもない」と解釈しましょう。
漏れ:「オレ」と読みましょう
--------------------------------------------------------
イキナリな書き方ですが「営業が出来る」と言うことは医師免許や
弁護士免許を持っていると同じくらい、もしくはそれ以上にお金を
生み出す特殊技術を持っていることなのだと、僕は思うのですね。

ここで言う「営業が出来る」と言いますのは、口がうまいとかそう
言う意味ではありません。「人が(企業が)物を買うという行動に
出るのはどのような場合なのか」を科学的に追求し、自分なりの答
えを持っている人のことを「営業が出来る人」と言うことにします。

さらに「自分なりの答え」とは行き当たりばったりで売り上げを上
げるのではなく、ある一定の方法論を用いれば必ず同一の結果が得
られる、その方法と理屈を熟知していることを指します。
なぜなら、10年続くヒット商品はなかなかありませんが、100
年続く営業の極意というモノは存在する、とボクは考えています。
ですから、今現在販売している(させられている)商品にこだわる
のは、あまり賢い考えとは言えないかも知れません。

ですから、もしウルトラ営業トークなどを期待してらっしゃったら
ゴメンなさいです^^)。正直言ってボクにはそれは無いです。
それよりも「そうか!そういうことだったのか!」と言った気づき
を大切にしてきた結果、現在安定して数字が出せるようになりました。
努力・根性・ヤル気と言った言葉も、大嫌いです。

続きはシャワーを浴びて、軽く食事でもしてから。夕方頃かな?
教材の訪問販売時代に客宅で気がついたことに触れてみたいと思います。
このときボクはどうすればアポが取れるのか、光のようなモノを見ました。
お楽しみに。

--------------------------------------------------------
訪問販売を経験した方なら誰でも一度は営業の極意なるモノを求めて書店
へ行った経験をお持ちでしょう。ボクもさんざん本を買いました。
でもそこにはボクが本当に知りたいことを教えてくれる本はなかったです。
ボクが本当に知りたくて仕方がなかったこと。それは。

  「どうすればアポが取れるんだYO」と言うことです
  
訪問販売の仕事で、なにがイヤって、アポ取りほどイヤな作業もありません。
逆に言えば、アポさえ取れればこんなに楽な仕事も無いと言い切れるほどです。
経験のない方はアポの取れた客先でどのように話をするのかがポイントだと
お思いになるかも知れませんが、それは違います。アポがすべてです。
よほどウソを並べたアポでない限り、誰が行っても買うところは買います。

そしてこのアポ取りの方法ですが、大きく分けると「たたき」と言われる、
いわゆる1件1件チャイムを押して回る方法と、電話を使った「テレアポ」
に大別されます。紹介などもありますがここでは省きましょう。
ボクはテレアポの会社に入りましたので、必然的にこのやり方でアポ取り
を覚えました。「たたき」についてはテレアポを補足する為の訪問しか
経験がありません。これは結構使えるテクニックなのですが、本筋から
外れますのでいずれまた、覚えていたら書きましょう。

--------------------------------------------------------
さてと、このように一見不毛の作業に見えるテレアポを続けていますと
色々とネガティブなことを考えるようになります。
「この名簿、先月もかけたよなー。新しい名簿もないし、もうダメポ」
「だいたい、もう家庭教師で引っかかる客なんていないっちゅーの」
ヘボ釣り師が、釣れないのは魚が居ないからだと言い出すようなもんです。

そこで、自分なりに創意工夫をしてテレアポをするようになります。
例えば切り出しで「もしもしこんばんわ、ワタシ○○と申しまして・・」
と言ってたところを「もしもし、あ、お久しぶりです。○○の山田です
覚えてらっしゃいますか?以前夏休み前にお嬢ちゃんのお勉強のことで
お電話してまして、ええ、ええ、そうです。色々電話ありますからねー」
実際にははじめて電話するんですが相手は覚えてませんから結構釣れます。
でも肝心のアポ設定になると取れません。

そんなある日、1本のアポが取れたのです。

--------------------------------------------------------
アポで約束もらった日時には、生徒本人と両親が揃うことになってます。
約束の5分前には客先に着けるよう、ゆとりを持って出かけてゆきます。
チャイムを押して出てくるお母さんにご挨拶「ど~も、お電話では失礼
しました。山田です」相手もすぐにニコヤカな対応に変わります。

ゆっくり座って話せる場所に案内されて、お父さん・生徒本人に挨拶します。
やがてお母さんがお茶を持ってやってくるまでは雑談です。

全員が揃ったところでデモ開始です。実際には話を聞こうとしないクソ
お坊ちゃま・クソお嬢ちゃまを手なずける作業がありますが、省略です。
通常ならばここでアプローチブックを広げてシステム説明に入るのですが
この日は、なんだかお客様との波長が最初から合っていて、話し出す前
から「ここは間違いなく契約になる」と言う確たる予感がありました。
そこで、ついついこんな質問をしてみたんです。

私:「毎日いろいろな業者からお誘いの電話が入ると思いますけど、これまで
   に他社のお話などお聞きになられました?」
親:「いえ、電話は多いですけど、お話を聞くのは今回が初めてです」
私:「ありがとうございます、ところでなぜ今回は私の話を聞いてみよう
   とお考えになったんでしょうか?」
親:「これまで部活ばかりで、親が勉強しなさいと言っても言うことを聞
   かない子だったんですけど、丁度お電話いただいた日に本人から
   そろそろ勉強始めたいから、家庭教師をつけて欲しいって言い出した
   んですよ。」
私:「はぁ、なるほど。タイミングが良かったんですねぇ」
親:「ええ、そーなんですよ。丁度良いタイミングでした」

このやり取りが後に僕の目からウロコを落とすことになったんです。

--------------------------------------------------------
それから。デモのたびにボクは同じような質問をすることにしました。
この質問をすることでデモに入る前の情報収集もやりやすいことが分
かったので、仲間の営業マンにも同じように質問させるようにしました。

そしてデータを集めた結果、おもしろいことが分かったんです。

ご家庭が話を聞いてみようと日時設定に同意してくれる、つまりアポになる
動機は、すべてご家庭サイドにその理由があったのです。
毎日毎日しつこいくらい電話があります。全部無視します。
でもご家庭に何か理由があり、「聞いてみようかな」と思っているところに
運良く電話した人間が、アポを取ってるんです。
決してアポ取りの電話をした人間の話術がご家庭に関心を持たせたのでは
無い、と言うことだったのです。

それまでボクは「どうやったら聞いてくれないお母さんの心を開いてボクの
話を聞いてもらえるように出来るんだろう?」とばかり考えていたんですが
どうやらボクは全く違う方向を向いていたようです。逝って良しです。

と言うことは、テレアポとは営業的なニュアンスを消して、ひたすら人より
多くの相手と電話で話をすること。関心が無さそうなら早々に電話を切って
次に行くこと。これにつきるようです。

ここまでお読みいただいたみなさんは「なんだ、そんなことか。そんなの
お前に言われなくても会社に言われてるよ」とお考えのことでしょう。
ま、もうちょっとつき合ってください。


--------------------------------------------------------
ワタシ、ふと思ったんです。
教材が100件電話して1件のアポが取れる商材としたら、20件電話したら
1件のアポが取れるような商材もあるんじゃなかろうか?
アポはその提案に関心あるところしか引っかからないとすれば、テレアポを
極めれば何だって売ることが出来るんじゃ無かろうか?

だいたいが、完全歩合で仕事してるんだから一つの会社に拘束されるいわれは
ないはずだ。会社と自分は言ってみればイーブンの関係のはずだ。
タウンページの分厚さだけ会社があり、そのほとんどが優秀な営業マンを必要
としているはず、しかもそれが「歩合」でやってくれるとしたら、別に求人
してなくても求めてくるんじゃなかろうか?

そしてボクは会社に対してある提案書を出すことになります。
つづきはまた。


--------------------------------------------------------
当時、僕と会社の関係は完全歩合給で経費一切自分持ち(名刺さえ自腹)。
歩合は売り上げによってスライドする変則歩合。ちなみに300万円売り
で最高歩合の30%支給でした。在籍する営業マンは7人いました。
僕の立場はと言うと、トップセールスではないけど毎月の予算消化には
必要な人間。って所ですか。ある朝、支店長に話しに逝きました。

 「ちょっと、折り入って話したいことがあるんですけど・・」

たぶん、退職関係の話だろうと感じたようで、「ちょと待ってよ、いまは
取り込んでるからサ、今夜久しぶりに一杯どう?おごるし」奢ると来たか。
その夜ケチ支店長からありがたくお酒を奢ってもらいつつ、切り出しました。

 「会社と僕との関係を見直したいと思ってるんですよね」 つづく


--------------------------------------------------------
「え?どういうこと?それって辞めるってこと?ちょっと待とうよ・・」
イヤイヤ、そうじゃない。って感じで支店長を制しつつ「言葉で話すと
誤解を生じるかも知れないから提案書としてまとめてきたんで、読んで
ください。それから詳細を話したいと思うんですけど」
そういって彼に封筒を差し出しました。

そこに書いてあった内容は、かいつまんで紹介するとこんな感じです。↓

ワタシは会社から固定給与及び福利厚生の一切を支給されているわけではなく、
こういう雇用形態にありながら出勤時間や勤務時間等、時間的な拘束があるのは
はなはだ不自然だと感じます。
つきましては、次にご提案する新しい雇用形態をご検討いただきたく、記名
押印の上○○支店長を通じ、お願いする次第です。
提案1:現状のスライド式歩合を見直し、一律40%支給としていただく。
    さらに、出勤などの身体拘束は原則として廃し、週の内1日だけ意見
    交換等の必要性のために1時間程度のミーティングを行う。
    会社は私個人の収入に関して、同業他社での副業的行為を除いてこれ
    に干渉しないモノとする。
提案2:勤務形態はこれまで通りとし、給与を固定給プラス歩合と改める。
    固定給与の額は同年代の高卒公務員の支給額を基準とし、ボーナスも
    支給対象とする。社会保険等の福利厚生を完備し、経費全てを会社
    にて負担する。

つづく

--------------------------------------------------------
読み会えた後支店長はしばらく無言で、やおらタバコを続けて2本吸い言った。
「なに、これ。つまり独立して代理店になるって事?」ちょと険しい顔
そーじゃないんだってば、偉そうな支店長さま。説明するから良く聞いてね。

漏れ「あのですね、代理店になるんだったら、言っちゃ悪いが40%なんて言
   いませんよ。60~70%出してくれるメーカーはいくらでもあるし、
   教材だってもっと優れてるモノがたくさんあるじゃないですか」
店長「そういわれればそうだね」
漏れ「あくまでも対外的には会社の一員と言うことで、僕には事務諸経費や
   会社設立に伴う雑事を考えなくて良いと言うメリットがあります。
   さらに、後日のアフターフォローも想定すると代理店としての独立は
   自分にとってプラスになるとは考えられないんですよね。」
店長「そういわれればそうだね」
漏れ「でしょ?提案の2は受け入れてもらえないって事は承知の上です。
   でも僕の要望って理不尽じゃないですよね、今の状態こそが理不尽じゃ
   ないですか。会社からしたら営業マンを手元に置いておくことになんの
   リスクもない条件で働かせてるんですから、ね、そうでしょ?」
店長「そういわれればそうだね」
漏れ「だからね、支店長。上と相談してみてくださいよ。それでもしダメっ   
    て言われたときは仕方ないから、スッパリあきらめますから」
店長「え、そーなの?その時はあきらめてくれるの?」
漏れ「だって仕方ないじゃないですか、そんときは退職して独立します」
店長「・・・・・・・・・・・」   

つづく

--------------------------------------------------------
それから数日して支店長室に呼ばれた僕は、提案1が通過したことを知らされる
思えばこのときが「営業」というスキルを武器にして企業と対等に交渉した
記念すべき一歩だった。ただし多少の摺り合わせは発生した。

会社は今後も業務を続ける上で名簿などは会社から提供を受けねばならない
だろうし、40%は出せない。30%にして欲しい。と言ってきた。予想通りだ
ぼくはそこで、現存する名簿の大多数を僕の努力で会社は手に入れ、共有資産
として利用していること。その条件であれば今後僕が独自に入手するであろう
名簿は会社に提供できないこと、出来るとしても1件当たり40円支払って
もらうこと、などなどを反対書面として提出しました。

その結果、当初の予定通り40%の歩合で会社との「訪問販売外務請負契約」
が結ばれることになりました。周りの反応は様々でした、「がんがれよ!」
と言ってくれる奴。「どうせ失敗するに決まってる」と言う奴。なかには
「うまくいったら呼んでくれ、そっちに逝くから」と言うバカな奴。
何にしろその時僕の頭の中にあったのはただ一つ、「これからだ!」と言う
期待と、未知のことに挑戦する不安と恐怖だった。

時に1993年、33歳の秋のことでした。   明日につづく(たぶん)


--------------------------------------------------------
当初は会社を作ることも真剣に考えた。でもそれはやめました。
これを読んでくれてる人の中には「歩合でフリーの営業やってるのと自営とど
こが違う?」と思う人もいるでしょうから、僕なりの解釈を書いときます。
この部分が以前書いた>>102の「その3」に繋がるわけですが。

  補足)102の「その3」=決して会社を持とうとしないこと。

店舗を持たない訪問販売では「会社の信用」をアピールするために、その土地の
人なら誰でも知っているような場所に事務所を構えることが多いです。
もちろん自宅アパートに電話だけ引いても「会社」は出来ます。法人でなくても
なんら問題はありません。でも訪問販売業者から即日即決で物品を購入する人は
表現の仕方は悪いかも知れませんが「他力本願で判断能力に欠ける人」が多い
ように感じます。テレビでCMをやってるとか、目抜き通りの立派なビルに会社
があるとか、社員の数が多いとかで「買う買わない」を決めるパターン多いです

ちょっと脇道にそれますが、そもそもなぜキツイと判っていて訪問販売に就職
する人が後を絶たないかというと、「頑張れば高収入がもらえるかも知れない」
と言う甘い考えがあるからでして、このような甘い考えの人を「使い捨て」に
することで訪問販売会社は成り立っているのも、また事実です。消耗品です。
こういった人たちもまた、会社の見た目の規模で面接や入社を決めます。
求人誌に1ページまるまる使った募集広告を出しているような会社って、大体
においてDQNだと思って差し支えないです。

僕は教材販売の会社を作って成功したかったのではありません。ただ収入的に
今よりもっと豊になり、ストレスを溜め込まないように会社と一定の距離を置
きたかったのです。ですから「会社」を持つことはやめることにしたのです。
さらにこのころから「商材」について考え方が変わってきました。それまでは
教材しか取り扱ったことがなかった僕ですが。ある出来事が外に目を向ける
きっかけを与えてくれたのです。


--------------------------------------------------------
恥ずかしながら僕はバツイチなんですが、その頃はまだ家庭を持ってました。
子供も3人いまして、どんどん育ってゆくモノですから、当時住んでいた住まい
(賃貸マンション・3LDK・家賃6万円)では狭くなってきました。
そこで手頃な借家でも探そうと物件探しを始めたんです。住宅ガイドを読み
不動産会社へ電話して物件を見て回る日々を過ごして判ったことは
「そうカンタンには希望にあう借家物件など見つからない」という現実でした。

家を探すに当たり一つだけ譲れない条件がありました、子供が転校せず済むよ
うに、現在済んでいる地域と近い場所でなければならなかったのです。
不動産営業マンの中に一人だけ、なんとなく波長が合う奴がいまして、時々
昼飯など食うようになってたわけですが、そいつと色々話している内にあること
に気がついたのです。

僕「不動産の営業ってどうよ?儲かるの?」
彼「完全歩合なんですけどね、正直言って売買物件決めるとデカイですよ」
僕「売買物件って中古住宅とかビルとか?どうやって売るの?」
彼「住宅情報誌を見て問い合わせてきたお客がほとんどですね、あとオープン
  ハウス(内覧会)とかやれば決まりやすいです。でも敷地まで階段があって
  車が家まで入らないとか言った物件って、どんなに値段を落としてもなか
  なか売れないですね、これなんかもう1年以上買い手がつかずです」

カバンから出した物件概要書は、ずいぶん前にカバンに突っ込んだままだった
のでしょう、紙も変色してしまいシミまでついていました。
●中古住宅・4LDK・車不可・築18年程度良し・価格1100万円相談可

--------------------------------------------------------
いろいろと聞いてゆく内に、今支払っている家賃以下で購入できることが
わかってきました。もちろん長期ローンを覚悟しなくては、ですが。
              「これだ!」
これまでは家を買うという考えがなかったため借家しか探さなかったのですが
普通の人は敬遠するような物件でも今の僕には十分検討に値する物件です。
さっそく希望するエリア内に車など入らなくて良いから、長期間売れずに
残っている物件があるかどうか、探してもらうことにしました。
彼の会社の手持ち物件だけでなく、他の業者の持ち物件も検索してもらいました

その結果、希望に会いそうなモノが数件出てきましたので、さっそく見学です。
その中の1件を気に入ってしまい、本格的な購入検討に入りました。
ところが担当の不動産営業マン君が「実は相談がある・・」と言ってきたんです
それは、近日中に今の職場を辞めて自分で不動産会社を設立する予定だ。
ついては、この物件はそう簡単に売れてしまったりしないだろうから、自分が
独立するまで契約を待ってもらえないだろうか、と言うことです。

僕も彼のことが気に入ってましたし、どうせ仲介手数料(物件価格の3%)を
払うんだったら、彼に儲けてもらいたいと考えてましたから、快くOKしました
彼はそれから約3ヶ月後に自分の会社を持つことになります。そしてこの3ヶ月
と言う時間が、僕に大きな転機を与えてくれました。


--------------------------------------------------------
ある日、近所の居酒屋でいい気になって呑んでいたのですが、もうすぐ持ち家を
持てるという嬉しさもあっていつも顔を合わせるご近所さん達に、その家を購入
することになったいきさつを話したんです。
話の最初部分では「でもなぁ、オレん所はまだ家買うには早いなぁ・・」と
言っていた呑み友達も、話が進んでゆく内に「ほう、なるほどね。実際は月々
その程度で買えるんだ!」「そうだな、転売することを考えなければ階段があ
っても気にならないし、オレも考えてみるかな」
そうやって楽しい夜は過ぎてゆきました。

それから数日後、呑み友達のご近所さんが奥様連れで訪ねてきたんです。
あの夜酔って帰って奥さんに僕が話した家のことをしゃべったところ、奥さんが
その気になったらしく、悪いとは思いつつ僕が購入する予定の家を2人で見に
行ったらしいです。そこですっかり気に入ってしまい、何がなんでもその家を
購入したい、と奥さんが言い出したと、まぁ、こう言うわけです。

「DQNさん、お宅は子供さんお嬢ちゃんばかりだけど、ウチは男の子と女の
子がいて、年頃になってるもんだからホントに切実なのよ。お願い!恩に着る
から、あの家を譲ってくれないかしら?」困りまちた・・・口は災いの元でつ

僕にも奥さんが居ましたので独断では何とも言えない、とその場はお引き取り
いただき、夜になって奥様に今日の昼間の出来事を話してみました。
いろいろあったんですが省略して、奥さんも「譲ってあげなさいな」となり
呑み友達夫妻には僕が懇意にしている不動産君が独立するまでしばらく待つ
こと、手数料を値切ったりしないことを条件にその家を譲ったのです。
もちろん不動産君にも連絡を入れて、僕の家は彼が独立してからゆっくり
探してもらうことで話は落ち着きました。

--------------------------------------------------------
さてそれから数ヶ月後、友達夫婦は家を手に入れ、僕の手元には27万円の
現金が届きました。不動産君が得た仲介手数料の中から30%を営業手当
として支払ってくれたのです。
それから僕の営業品目に「不動産」が追加されたのです。手元にあった生徒
名簿は、考え方を変えれば「子供を持った親の名簿」であり、僕らと同様に
子供の成長にあわせて住まいが手狭になっている人がたくさんいるはず。
そして不動産市場には視点を変えてやれば売れるはずの物件がゴロゴロ
転がっていたんです。

僕は独立した不動産君(名前が必要ですね山田君としておきましょう)と完全
歩合で不動産物件の営業をする契約を結びました。歩合は会社に入ってくる
仲介手数料の30%です。名刺などの備品やコピー機などは自由に使って良い
ことになり、業界のことを勉強する必要があるので最初の1ヶ月だけは山田君
のカバン持ちをさせてもらい、以後は毎週1度だけ打ち合わせのために出社
する、こういう取り決めとなりました。


--------------------------------------------------------
住宅情報誌に紹介されている、時間がたっても売れてないような物件を選んで
業者に連絡して情報をもらい、「家賃と換算した支払例」を作り上げます。
これまでは教材を売るために使っていた名簿が、つがった使い道を示してくれ
ます。物件が所在する地域の学校区を調べて名簿とつき合わせます。
ターゲットを決めたらテレアポです。

「もしもし、ワタシ山田不動産のDQNと申します。○○中学校の校区内にお住い
のご父兄に月々4万円でお求めいただける中古住宅のご紹介をさせていただいて
ます。ご関心がなければすぐに失礼しますが、もしご関心をお持ちでしたら今度
の日曜日に内覧会をいたしますので、ご案内状をお送りしています。」

その週の日曜日、内覧会には4組の家族が来場し、販売が成立しました。
このような契約が続くようになると、山田君も他の不動産会社の人もどうやって
僕が客を捕まえてくるのか、何とか聞き出そうと躍起になります。
別に出し惜しみするつもりもないものですからノウハウは提供しますが、
実際にはなかなかうまく行かなかったようです。
やはり訪問販売の現場で一度徹底してテレアポで鍛えられてからでないと
精神的に続かないようです。


--------------------------------------------------------
このようにして、少しづつですが取り扱う商材を増やしてゆきました。一時は
増やしすぎて自分の仕事を見失いそうになりましたが、徐々にメインとなる
商材に絞って営業を続けることになりました。方法はやはりテレアポです。
テレアポに関しては、僕は自分なりに深く掘り下げて研究し実践しましたので
理論のようなモノを会得しています。機会があったら、いずれご紹介します。

さて、テレアポに限らず訪問販売の営業活動とは「アポ取りでニーズの顕在化
している見込み客を選定し、訪問面談して緊急性を認識させ購買に誘導する」
ことにつきます。
店舗を持つ商売との違いは、アポなどにより積極的に見込み客を捜しに行くか
行かないかの違いでしかありません。しかしながら現実にはクロージングで
ウソ800を使ったり、さまざまな「営業テクニック」を駆使しなければ契約
に至らないのはなぜでしょう。

様々な商材を取り扱うウチに、一つ判ってきました。
いわゆるDQN販売会社の製品やサービスはアポ段階で価格提示できないモノ
ばかりです。アポ段階ではうまく価格の話をはぐらかし、最後の最後で価格
を提示します。その時大体のお客さんは予想を超えた金額を知って驚くです。
そこからが「営業マン」の腕の見せ所、と言うわけです。

しかし、この世にはアポ段階で価格を提示して構わない商材が多数あります。
言い換えればアポ段階で価格を提示してもお客がギャップを感じない商材が
ある、と言うことです。
こういう商材を販売するとクロージングで楽です。でも実際には訪問販売で
このような商材を取り扱うことはありません。

なぜでしょうか?  それは次回のお楽しみ。  つづくでつ。


© Rakuten Group, Inc.