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会社を辞めて旅に出た ~いつのまにか雲南定住~

会社を辞めて旅に出た ~いつのまにか雲南定住~

マウントハーゲンへ飛ぶ

マウントハーゲンへ飛ぶ

 バリラタ国立公園には5泊して、国立公園のスタッフが再びポートモレスビーに買出しに出かける時、一緒に乗せてもらい空港まで送ってもらった(ガソリン代を払って)。次の目的地は、パプアニューギニア中央部の西部ハイランド州マウントハーゲンだ。首都のポートモレスビーからマウントハーゲンへは道路がないので(というか、パプアニューギニアの場合、道路網はごくわずかしか整備されていない。移動手段は飛行機に頼るところが大きい。)、やむなく料金の高い飛行機を使わねばならない。空港の国内線ロビーに到着すると、中は大勢の警察官で非常に込み合っていた。これは一体何事かと思っていたら、選挙の治安維持のため、首都のポートモレスビーから中央高地のマウントハーゲンへ、警察官が百人以上も航空機をチャーターして向かうのだという。この国の選挙はかなりエキサイティングらしく、暴動や部族対立(このあたりがパプアニューギニアらしい・・・)に発展することもあるとのこと。どうも、あまりよろしくない時期にこの国を訪れてしまったようだ。

 空港では、日本へのポストカードを送ろうと郵便サービスを探したが見つからない。国際線のロビーにならあるのではないかと思い、行ってみたがそこにもない。空港内には華僑が経営する小さな雑貨屋(スナックからバッグ、時計、ラジオ等まで幅広く扱っていた。)、ベーカリー兼軽食スタンド、レンタカーのサービスカウンター、そしてツーリストインフォメーションのカウンターがあるだけだ。いわゆる他の国にあるような土産物ショップ等も無く、いたってシンプルな空港だ。まあ、仕方が無いのでポストカードはマウントハーゲンに着いてから出すことにした。

 マウントハーゲンまでの飛行時間は約1時間。上空からニューギニアの大地を見たかったのに、眼下は雲に隠れていて良く見えなく残念だった。マウントハーゲンに到着し空港の外に出たら、町までのバスがないことが分かった。周囲の人の話では、選挙のため休みだという。何てことだ!仕方がないので付近に停まっていた病院の自動車に乗っていたスタッフに、(期待を込めて)町までの行き方を尋ねた。すると期待どおり、町まで乗せていってくれるとの返事。やはり尋ねてみるものだ。しかし、町までは乗せてもらえず、途中のホテルの所で、「ここに泊れ」と言われ降ろされてしまった。まあ、乗せてもらえただけでも感謝しなくてはならない。そのホテルに入り、フロントで宿泊料金を尋ねると100キナだという。日本円で3500円くらい。うーん、これは高い!だが周辺には他にホテルもないので、ここに泊るか、あるいは町までさらに歩くかしかない。試しにフロントの女性に値段交渉してみると、ラッキーなことに55キナにまけてもらえた。どうやらパプアニューギニアでも値段交渉は通じるようだ。それが通じないのは日本くらいか・・・。とにかく、今晩はこのホテルに泊まることに決めた。約1週間ぶりの文明生活。チェックイン後、早速シャワーを浴びて宿の近くの雑貨屋からビールを2本買い喉を潤した。ちなみに、350ml位の低いずんぐりとしたボトルに入っているビールが1本5キナ。1キナが約35円だから、日本よりちょっと安いくらいだ。宿の周囲には小さな雑貨屋とガソリンスタンドがあるだけで、食事出来るところがない。ホテルからマウントハーゲンの町まで歩いて行ってみることにした。15分ほどで町の中心部に到着。散歩もかねて散策していたら、スーパーマーケットを見つけた。そこでスコーン買い(パプアニューギニアでスコーンを食べられるとは思っていなかった。まずまずの味)、帰りに店の前に出していたフードスタンドで蒸しサツマイモ(*1)を2個買ってホテルに戻った。

 翌日はもっと安いホテルを探しに再び町へ行った。しかし、いずれも高く、ようやく1軒、同じ料金(55キナ)で泊まれる宿(ホテルというよりは宿と呼ぶべき設備)を見つけただけ。しかも、その宿は昨夜泊まったホテルと比較すると設備は悪く、トイレ・シャワーが共同となる。どちらにするか迷ったものの一応値段交渉してみると、値下は出来ないが、翌日近くの森に車で連れて行ってくれる(もちろん無料で)とのこと。車代とガイド代とを考えるとこれはかなりおいしい話ではないかと考え、また今のホテルは町外れで不便なので町中のこの宿に移動することにした。明日が楽しみ・・・。午後は、マウントハーゲンの町を歩いてみた。1キロ四方位の広さで、歩いて全体を捉えることができる適度なサイズだ。それでも、この町はパプアニューギニアの中央高地の中心的町らしい。確かに通りとか、メイン通り横の広場には結構な人がいる(特に何をしているというわけではないがとにかくいるのだ)。町の感じは大体つかめたので、映画でも見ようかと思い通行人に映画館の場所を尋ねた。すると親切にも映画館まで一緒に歩いて連れて行ってくれた。パアニューギニア人は親切だということがガイドブックに書かれてあったが全くその通りだと感心。

 Tribe Theater(直訳すると部族劇場か?)という名の映画館では香港のアクション映画が上映されていた。入場料2キナを払い中に入ってみる。想像していたよりも中は狭く、観客でびっしりの様子だ。目が慣れるまでしばらく待ち、それから空いているスペースを探し、木製の長いベンチ(*2)に腰を降ろした。映画館だと思っていたのに実際はVCDをプロジェクターで映写していて、ところどころVCD特有の画像が飛んだり、モザイク風になったりして見難い。それでもアクション映画(確か言葉は英語だったと記憶する)なので、大体の筋は把握でき、まずまず楽しめた。最近は、どこの国に行っても地方の映画館がつぶれていて、大きな町にロードショーの映画館が残っているだけということが多い。かつては(東南アジアでは)、ちょっとした町にだったら映画館が必ずあり、古い映画や香港映画とかその国の映画など気軽に楽しめたのに・・・。ビデオやVCD、DVDが普及したせいで映画館が少なくなったというのも寂しい気がするし、ひとり旅の楽しみが一つ奪われ残念に思う。  次を読む

*1 蒸サツマイモはカオカオと呼ばれ、パプアニューギニアではよく目にする代表的食べ物といえるだろう。
*2 映画館内には一人一人独立した椅子ではなく、木製の長いベンチだった。スクリーンに近い前方は地面に直接座って人々が見ていた。



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