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カテゴリ:カマキリ物語
『秘密のファイル-CIAの対日工作』を読んでいても、師匠の西山千の名前が出てこない。マッカーサーやライシャワーとの接点もある、通訳の名人の名前が出てこない。すべてを知っていながら、私に日米間の複雑な過去を語られることはなかった。 口の堅いお人だった。きわめて、透明人間的な生き方をされていた。西山名人カマキリ説もこの辺りから、あぶり出されたものだ。「日系米人を味方にしなさい」とさりげなく仰言った名人の発言のうらには、何かがあった。 日系米人社会の中でも、ひときわ目立った師匠の悲哀は ―― もしあったとすれば ―― 日本人が敬遠する日系米人が米政府に対日スパイとして使われているのだ、ということは口が裂けても言うことができない。つらかっただろう。師のあとを追い、私が目指しているバイリンガリズム、そしてバイカルチャリズムの道は、果てしなく遠い。山頭火の道か、まっすぐで淋しくて。
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最終更新日
2008年10月23日 18時35分45秒
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