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長崎に帰っているときに、強烈なサービスに出会ってしまったので、皆様にご紹介させていただきたいと思います。
今回、私は親戚が亡くなったために急遽帰省をしておりました。 東京を午前中に出て、実家に荷物を置いたら妹らと共に車で通夜の斎場へ駆けつけるというバタバタしたスケジュールでした。 とはいえ何も食べずに行くのも心許なかったので、20分だけと思い行きがけの道すがらファミリーレストランに立ち寄ったんですね。 メニューを見て注文をしました。 ハンバーグに海老フライにポタージュスープにその他いろいろ。 はじめにスープが運ばれてきたときに、私はウェイトレスさんに言いました。 「ちょっと急ぎ目でお願いしますね。」 その女性はかしこまりました、と笑顔で言ってくれたのですけれど、彼女がテーブルを離れてしばらくすると私の携帯電話が鳴りました。 先に斎場に入っていた私の母親からの電話で、もう弔問客が幾人かいらっしゃっているから一刻も早く来て受付を手伝ってほしいと。 もう注文したのに、と思いましたけれど仕方ないので私はすぐにレストランを出ることにしました。 伝票を持ってレジに行こうとすると、フロアにいた店長らしき男性がそれに気づきました。 「お客様、何かご不都合な点でもおありでしたでしょうか?」 「いや、こちらの都合です。申し訳ないけれど、もう出なくちゃいけないので御勘定を。」 「しかしお召し上がりになっていらっしゃいませんから。」 「いいんです。料金は全て払いますから、すみませんけれど注文はキャンセルしといてください。」 こんなやりとりをしている間に、うしろの厨房から急いでもらった料理がずらりと出てきました。 あー、しまった。迷惑かけちゃったなあと私が思ったその時、その男性はこうおっしゃったのです。 「料金は結構です。お急ぎなのでしょう。お召し上がりになっていないものの代金をいただくわけには参りませんから、どうぞこのまま行かれてください。」 海老フライがほかほか湯気を立ててお皿に盛られているんですよ。後ろで。 ハンバーグも鉄板の上でじゅうじゅういっています。私が食べようと食べまいと、彼らにとっては原価のかかった商品です。 それを食べていないから、料金は要りませんとおっしゃっています。 私は感心してしまいました。 つまり、ハンバーグという商品を彼は提供しているわけではないのでしょう。 ハンバーグを食べながらひとときの楽しい時間を過ごしてもらうことまでが自分達の提供しているトータルサービスだと思っているから、それが実現できない状況で代金をもらうわけにはいかない、という認識なのではないでしょうか。 彼がやりとりの瞬間にどれくらい明示的にそのような理屈を思い浮かべたかはわかりません。 しかし反射的に「代金は結構です」と発言する、その意識の根底には上に述べたようなサービス業のプロとしてのプライドがあると思います。 普通のファミレスで、こんなことまず言えないはずです。 画一的な設計のもと、セントラルキッチンでシステマティックに生産された商品は、廃棄率・原価計算等すべて店長の成績として評価がされるはずのものです。 喪服を着たお客がいたから事情を汲み取って融通を利かせました、なんていうことはそんな数値に何の反映もされません。 しかしこのような応対をされた客が感じ思うことは、このファミリーレストランに対する強烈なイメージアップとロイヤリティの醸成です。 しかもこんなサービスに出会ったら、ブログで紹介したくもなるし、人に話したくもなります。 消費者にそれだけの行動を起こさせ、また来店したいと思わせるその宣伝効果は、廃棄しなくてはいけない商品原価の何十倍の価値があるでしょうか。 現場のスタッフの方がとっさにこのようなサービスを提供できる会社は、本当に強いと思います。 今回私が訪れたお店は、ファミリーレストランCOCO'Sの文教町店です。 何の気なしに偶然訪れたこのファミリーレストラン、私は利用するのは初めてでした。 実はこのCOCO'Sの親会社ってゼンショーなんですよね。そしてゼンショーのグループ経営本部で関連企業の統括をされている杉園さんは私の銀行時代の先輩であります。 今回代金は結構ですとおっしゃった店長は私がどんな立場の人間か知らないし、まして親会社にそんなつながりがあることを知る由もありません。 日々のお客の一人として私に応対をし、サービスを提供してくれたのです。 だから、私は明日先輩にメールを出そうと思っています。あなたのところのグループ社員にはこんな素晴らしい意識の方がいらっしゃって、企業価値の向上に強烈に貢献されています。目先の損得にとらわれずサービス業の本質を貫くことが、いかに価値のあることかを私は教えていただくことができました。ありがとうございます、できれば社長にもこの事実をお伝え下さいと。 あの店長さん、長崎で今日も新しいCOCO'Sのファンを作っているかもしれませんね。 楽天 中村晃一 ←いつもクリックありがとうございます。1日1回有効です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月14日 03時46分53秒
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