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満天記念日(建築の話しましょう。「建築目安箱」)

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2005/01/14
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カテゴリ:住いの情報
ある年の年末の12月20日に役所の完了検査も終え、ようやく引渡しとなりました。48坪の専用住宅です。現在住んでいる所も、自己所有の物件で、特にあわてて引っ越すことも無い状況でしたので、建て主さんは時間のあるときに、マイカーで小物などを年内に運んで、旧宅で最後のお正月を迎えてから、引っ越すという予定でした。

おばあちゃんがおられたのですが、建築工事中に少し身体の具合が悪くなり入院していました。孫たちも冬休みには引越しの手伝いをしていました。お正月を過ぎたらおばあちゃんも退院できるので、その時みんなで新居でお祝いしようという、家族の心温まるお話です。

普通は新居に入って正月を迎えるものですが、そういう事情をみんなが納得して、早くおばあちゃんに良くなってもらって、一緒に楽しく暮そうよ!という、お話なのですが、こういう家族にも神様は少し試練を与えられるんですね。

入院中はおばあちゃんが寂しいだろうと、普段見ていた小さ目のTVを病院に持って行ったため、とりあえず茶の間の8畳に置くTVは2年ほど閉まっておいた、旧式のTVを置くことにしたそうです。現在も旧宅ではTVを見ていますから、とりあえず非常用に古いTVを置いたのだそうです。

さて、年も明けて元日、することもなく、深夜からビデオ三昧で寝不足気味の私は、午後の3時頃の電話で目を覚まさせられた。引き渡した後は何かのトラブルが起きてもすぐに対処ができるように、携帯電話番号だけではなく、自宅の電話番号も建て主さんに渡しておくのが普通だったとはいえ、引き渡した物件の建て主さんから元日に電話が入るということは、いい知らせのはずはありません。

予感的中。

私「あけましておめでとうございます・・なんていう、挨拶をしている場合じゃないんでしょ。○○さん・・・」
お施主様の奥さん「わかりますか・・・どうしたらいいんでしょ・・・」
私「何があっても驚きませんから、言って下さい」
お施主様「・・・・・・」
私「まさか、燃えちゃったとかいう話じゃ・・・げげげ」
お施主様「・・・・・・」
私「・・全焼ですか??」
お施主様「ごめんなさいね・・・」

このときお施主様は私にどう謝ったらいいかだけ、考えていたそうで、それはなぜかというと、あんなに一生懸命作ってもらった建物を自分たちの不注意で燃やしてしまったことを、なんと説明すればわからなかったそうです。(不注意じゃなかったんですけどね)

なんと素敵なご一家でしょうね。自分たちの財産が燃えてしまったというのに、設計監理と施工管理した私にまず気兼ねをして、電話をすることさえ黙っていようかと思ったそうです。
落ち着いたところで詳しく聞いてみると、どうやら全焼ではなさそうでした。

とるものもとりあえず、工務店の社長と担当者に連絡。正月で私以外全員酒びたり。(私飲めないんですね・・)この話を聞いて酔いもどこかに吹っ飛んでしまったそうです。あたりまえですね。

さて現場到着。ご一家が勢ぞろいで新居の前でお出迎え。
あれっ?燃えてないじゃ・・・ありゃりゃ。。

玄関を入ってホールから真正面にある茶の間の8畳が、なんとなく水墨画のように入り口の障子戸のまわりから薄黒くなっている。焦げ臭い。いぶったような臭いが家中に充満している。

部屋に入って驚いた。真っ黒。全て真っ黒。
畳は真っ黒、天井は焼け落ち、2階の床下が見えて真っ黒。柱も真っ黒。

原因が何なのか聞いてみた。・・・親切があだになっていた。

おばあちゃんが帰ってきて茶の間で見れるように用意していた、古いTVが爆発したことが火災の原因だった。
TVを窓側に配置し、電源を入れて映ることを確認後、電源を切った。コンセントは抜くはずも無い。だってTVが爆発するなんて誰も考えないもんね。

古いTVと言ったって、5年程度以前のもので、そんなものはごく普通でしょ。そこの家ではそのTVが一番古かったので、古いTVとは言ってましたが。

ただ、少し救われたのは、TVを消して旧宅に戻って、今年の引越しはあとこれでおしまいにしよう。という段取りだったのですが、家に帰る途中、そうだ!座布団も運んでおかなきゃ、と、何気に思ったそうです。
お茶を飲んで一服して、新居が見えてきたら、なんとなく雰囲気がおかしい。

そこは6区画の分譲地でそのお宅が一番最初の完成物件。それ以外の家は工事中で、近所には今のところ誰も住んでいなかったのです。家の茶の間の障子窓が赤くなっている。
「燃えてる・・火事だ・・・・・」

お父さんは息子と一緒に家に飛び込もうと玄関を開けた。
正面に見える茶の間の障子戸のむこうが真っ赤だ。
水!水!と思ったが、出がけに元栓を閉めてしまって、蛇口をひねっても一滴も出てこない!!
そうだ、浴槽だ!

冬場のお引渡しの際の注意事項で私が一番くどく説明するのが、給湯ボイラーの使い方です。細かい話は別の機会に説明しますが、とにかく寒い地方では、浴槽は冬場は必ず満水にしておくことをお願いしています。

それを思い出したそうなのです。
浴室に駆け込み、洗面器やバケツで水を汲んで、息子さんと二人で必死の消火作業。幸い早いうちに見つけたらしくて、和室だけの延焼で食い止められました。あのとき浴槽に水が張ってなかったら,多分全焼だったろう。と消防署の見解。

不幸中の幸いが続いて怪我もせずこの程度で済んだそうです。

それから、私に電話するかどうか家族会議が始まって、電話しないわけにはいかんだろう。なにせこれから何をどうしたらいいか、さっぱり誰もわからないわけですからね。

はいはい。どんなことでもなんでもご相談下さい。

お金のことと、女性のこと、以外はなんでも相談に乗ります。あ、犯罪に絡んだものは拒否します。

火災保険の手続きも、復旧もなんとか1月中に完了し、一応は無事に済みました。火事の臭いは抜けないんですけどね。
この事件は、家族会議で入院中のおばあちゃんには内緒にしておこうと決まったらしいのです。なにせ、TVが原因でしたからね。おばあちゃんが、、「入院しなきゃTVさえなけりゃ。。。」と言う話になると面倒なので。
というか、余計な心配はさせたくなかったのでしょうね。

どこまでも優しいご家族のお話でした。

おばあちゃんにはすぐばれました。孫息子が得意になって消火作業の話をしてしまったからです。



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Last updated  2005/12/06 09:59:20 PM
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