「ふつう私は小説家として暮らしている。
ここ5年ほどは湘南海岸の茅ケ崎市である。
海岸から300メートルか400メートルほどのところでひっそりと
起居している。
月曜日と木曜日の夕方になると2キロ離れたところにある水泳教室へ行くために外出するが、それ以外はほとんど家に垂れ込めたきりである。」(「国境の南」から)
茅ヶ崎のラチエン通りからまっすぐに海に向かうと、真正面に
水平線と烏帽子岩が出現する...そんな不思議な光景が見られる
場所に開高健の記念館があリました。
木々の緑に映える瀟洒な洋館
開高健は茅ヶ崎の東海岸に移り住み、亡くなるまでここを拠点に
活動を展開された男のロマンを地でいく作家でした。
亡くなられて15年ほどですが一人娘、奥様もすでになく
サントリー時代の友人たちが遺品を整理し、あたかも存在していると錯覚しそうなほど書斎は往時のままに原稿や愛用品が展示されて
います。
いかにも主が居そうな.......
たぐい稀なその足跡をより多くの人たちに知ってもらおうと市に
土地と家を寄贈し記念館として関係者の努力で運営されています。
木々の明るい木漏れ日の中、「哲学の道」を歩き庭に出ると
バーベキューの為の炉やガーデンセットがあり、洋風の館のつくりの明るいテラスには著書が置かれ無料でお茶を飲む事もできます。
図書館代わりにくつろぐリピーターも多いとか....
「悠々として急げ」
「遠い道もゆっくりと
けれど休まずに
歩いていく人がいる」
御影石に書かれた開高健の言葉。.....感じ入ります.
冒頭に書いた「国境の南」に書かれていた水泳教室の大きな
開高さんの写真が飾ってある階段の下で本人にお会いしました。
思わず、「こんにちは」と一面識もなかったのにお声をかけたら
応えてくれたのが甦ってきました。
また、行きたいところです。
あの明るいテラスで何を読もうかしら.....
開館日 毎週金・土・日の3日間と祝日
10:00から5時(4月~10月は6時)
茅ヶ崎市東海岸6-6-64
TEL&FAX 0467-87-0567
入館料 無料