同族会社で社会保険料が掛からない役員報酬の支給方法
同族会社で役員報酬を支払う場合、通常は定期同額給与として毎月支給しているかと思います。この場合、この会社は社会保険の適用事業所となり、会社と役員は健康保険と厚生年金の保険料を支払う事になります。役員以外に従業員がいて給与を支払っている場合も、従業員が加入要件を満たしていれば、適用事業所となります。労働基準法では、労働の代償として使用者が労働者に支払う賃金は、毎月1回以上支払いなさいと定めています。役員報酬は賃金ではありませんので、毎月1回支払う義務がありません。つまり、年1回の支給でもOKってことです。年1回支給する役員報酬は、事前確定届出給与として税務署に届出をすれば損金にできます。実は、社会保険に加入するには、毎月、給与や報酬が支払われていないといけないんです。年1回だけの役員報酬だと、適用事業所であっても社会保険に加入できません。社員がいない役員だけの会社で、全員が年1回の役員報酬だけを受け取っていると適用事業所にもなりません。ただ、まったく社会保険に加入しない訳にもいかないので、年1回の役員報酬だけだと、国民健康保険と国民年金に加入することになります。国民健康保険の保険料は、世帯全員の収入によって決まるので、収入が多いと保険料も高くなります。その点、協会けんぽと厚生年金は、個人の標準報酬月額と賞与で決まり、扶養家族の保険料も掛からず、配偶者を厚生年金の第3号被保険者にすることもできます。社会保険料が掛からない年1回の役員報酬と、保険料が安い協会けんぽ&厚生年金の両方のメリットを得るには...ずばり!法人を2つ用意することです。1社からは、定期同額給与として毎月報酬をもらい、協会けんぽと厚生年金に加入。もう1社からは、事前確定届出給与として年1回報酬をもらう。2社から毎月報酬をもらう場合は、報酬を合算して社会保険料を納める必要があるのですが、1社分しか保険料を納めていないってケースがよくあったようです。今後は、マイナンバーで簡単に捕捉されるのでヤバイですよ!なお、社会保険や役員報酬については、必ず社会保険労務士、税理士にご相談下さい。