アメリカン・ダンス・アイドル(3)
<ロサンゼルス1次予選>朝7時、会場前にはすでに2キロに及ぶ長蛇の列が出来ていました。過去2シーズンの優勝者は、ここロサンゼルスの予選会場から選出されています。アメリカン・ダンス・アイドルのオーディションに参加出来るのは18歳以上。ローレンは才能あるダンサーですが,去年はこの年齢制限で出場出来ずに裏方で振り付けの手伝いをしていました。「スパイダーマン3に出るとき、トビー・マグワイアにダンス教えたのよ。彼、この番組の大ファンで毎回見てるんだって。」身体の線も奇麗で、完璧なボディコントロールが出来ています。即ラスベガス行き決定。幸先のいいスタートでした。 ロスもニューヨークと同じように,というよりむしろそれ以上に個性的な人がそろっていました。アニーは太めのおかま。フロアに寝転んで自分の身体をなで回し、見ててちょっと気持ち悪いんですが、テクニック的にはいいものをたくさん持っています。会場からは歓声と拍手が沸きます。しかし審査員の言葉は辛らつでした。「太ってるのに凄いなって皆思ってるだけだから誤解しないように。普通の人が同じ事やっても受けないレベルだ。健康のためにダンスを続けなさい。君は不合格だ。」再審査のチャンスもなしでした。『ゴールド・インフェルノ』という黄金のマスクの男性も登場します。自称ジャンプスタイルの全米チャンピオン。ジャンプスタイルって、なに??ベルギーで生まれたダンスだそうで、いってみればリズムに合わせて跳んでるだけ。そんなジャンル、誰もやってる人いないから、自称全米チャンピオンなんですね。審査員達はみんな呆れて、「是非別のスタイルの踊りも踊れるってとこを見せて欲しい。」と再審査に回されます。でも、他のスタイルなんてもちろん踊れるとは思えないですよね。変わった人と言えば、7年間しゃっくりが止まらない男性カートと、踊りながら知らずにウィンクする女性ディアの社交ダンスペアも登場します。ちょっと女性の足もとが弱いんですが、再審査で二人ともラスベガス行きを決めました。インテリなダンサーもたくさんいましたよ。ロケット・エンジニア、宇宙物理学者、法律関係者、翻訳者。中でも凄かったのは血液の研究をしているというコリン。サイコな目つきで宙を漂うような不思議な踊り。即不合格なんですが、「来年は社交ダンスで出る。」なんて言ってました。一体,一緒に踊ってくれる女性がこの世にいるんでしょうか。さて、再挑戦で素晴らしい躍進を見せたダンサーもいました。ワイン農場を一家で経営するチャイは,去年ラスベガスの2次予選で敗退しました。「社交ダンスとヒップホップを重点的に練習して来た。」と対策もバッチリ。素晴らしい身体能力、見応えのある踊りでした。驚いたのは彼の父親がダンスすることに反対している理由です。「ラテン系の男は,息子がダンスする事を嫌うんだ。男らしくないって。」それじゃ、ラテンダンスを真似て踊ってる私達ってどう思われてるんでしょう。多分,変な奴ってことですよね。もう一人、日系人のホークはやはり去年ラスベガスまで進みましたが,学生ビザしかもっていなかったため、優勝しても就労出来ないという理由で不合格になりました。今年は労働ビザを取得し、ブレイクダンスで再挑戦。独創的で素晴らしいと審査員一同、スタンディング・オベーションでした。今回一番の注目は、去年優勝したベンジーの妹、レイシーの登場です。スイングとラテンのユースで全米チャンピオン、優勝回数ではベンジーより上だそうです。今年18歳になったので満を持しての登場でした。ベンジーと二人で踊るスイングは、それだけでショーになるくらい素晴らしいもので、お兄さんのあとに続いてどこまで行けるか、とても楽しみです。<今日のポイント>1 テクニック不足を奇抜な衣装で補う事は出来ない。2 上手く行かなかった理由を理解し,克服すれば,再挑戦で成功する確率は上がる。3 ダンスが本職でなくても、踊りが上手い人はたくさんいる。