テーマ:社交ダンス(8695)
カテゴリ:映画のはなし
今日ご紹介するのは、見終わった後、心がなかなか余韻から抜け出せない、そんなスペイン映画です。
事故で昏睡状態となり深い眠りの中にいる美しいバレリーナ、アリシア。4年間、眠り続ける彼女の髪や爪の手入れをし、彼女の好きだったバレーや無声映画を観ては、語り続ける看護士のベニグノ。 一方、恋人リディアの突然の事故に困惑し、彼女の傍らで泣き、ふさぎこんでいるだけのマルコ。同じ病院で似たような境遇のマルコとペニグノは、次第に友情で結ばれていきます。 人間の孤独や寂しさが、いつも影のように登場人物につきまとっていて、観ている私達にも絡み付いてくるようです。生と死の狭間でさまよう女性たちの運命を分けるのは、愛するものの信じる力でした。アリシアは復活し、リディアは死にます。 リディアは、女闘牛士でした。豪華な刺繍の衣装に身を包み、最後の戦いに臨みます。パソドブレの踊りには、この緊張感が必要なのだと、感じました。「この試合が終わったら、話があるの。」彼女はそのまま、競技に倒れます。 この映画には、ブラジルのミュージシャン、カエターノ・ヴェローゾが歌うシーンがあります。ある女性を、死の直前まで恋いこがれる男の歌です。彼の魂は、鳩になって、彼女の窓辺へ飛び、そこで歌うんです。 「ククルクク・パロマ」というこの歌は、歌詞が分からなかったとしても、心に響きます。ため息が出るほど、切なくて、耳について離れません。それが、アリシアを恋いこがれるペニグノと重なって、ますます、いたたまれない気持ちになります。どうして人は、叶わぬ恋をしてしまうんでしょう。 アルモドバル監督は、この作品で、第75回アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞します。また、ゴールデン・グローブ賞、最優秀外国語映画賞も受賞。 孤独という冷たい風が心に吹くようで、あまりの切なさに、しばらくは暑さを忘れられます。 サントラ/トーク・トゥー・ハー・オリジナル・サウンドトラック オムニバス/映画「トーク・トゥー・ハー」~イマジネイション コンパイルド・バイ・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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