テーマ:社交ダンス(8610)
カテゴリ:アートのはなし
レンブラントは『光と影の巨匠』。
フェルメールと同様、17世紀のオランダを代表する画家です。 2006年の生誕400年の時に詳しく書きましたが、彼の作品は世界中の美術館で所蔵されていて、今までにドレスデン、ルーブルなど様々な企画展で彼の作品を見る機会がありました。 私は17世紀のオランダ黄金時代の絵画に、なぜかとても惹かれるものがあるんです。 今回上野でまたレンブラントが見られるというので『靴も買うし,練習も行くから』とムリムリ大将も引っ張って行ってきました。 いつも渋々ついて来る割には見終わると『オランダのことは俺様に聞け』みたいになるんですよ。 今回のメインは版画です。 油絵よりもレンブラントが大変情熱を傾けて製作したと言われる版画を110点も展示されていて、あまりの美しさに圧倒されてきました。 出展は主にアムステルダムのレンブラントハイスでしたが、中には個人蔵なんてのもあって、レンブラントを個人で持ってる人がいるんだってことにも驚きましたね。 彼の絵画は贋作が多いことでも有名ですが、版画は『あんまりすご過ぎて真似出来ない天才の技』が駆使されているそうで、そういった意味でも見応えがありました。 チケットにも使われている『石の手摺りにもたれる自画像』。彼は油絵でもたくさんの自画像を残しています。 この作品にはエッチングとドライポイントという技法が使われているそうです。 子供の頃、版画と言えば彫刻刀で木を削ってインク乗せて刷るってのをやったことがありますが、他にもいろいろな手法があるんですね。 エッチングというのは銅板に松ヤニなんかを塗ってその上から細い針で引っ掻いて、酸性液につけて腐食させ、そこにインクを入れるなんていう手の混んだ方法です。 ドライポイントはやはり金属板を針で引っ掻くんですが、『まぐれ』っていう削りカスみたいのが線の両端に出来て、それがインクを乗せた時にボヤッとした陰影の幅になるそうなんですが、何枚も刷ってると摩耗してなくなってしまうそうです。 刷りも使用する紙も重要なポイントで、いいお客さんには和紙使うとか、ドライポイントが上手く出る最初の方の刷りにするとか、そういうのでも値段が変わるんですね。 この作品もすごかったですね。 白と黒だけなのに、まぶしいじゃないですか。 『羊飼いへのお告げ』という作品なんですが、エッチングとドライポイントの他にエングレーヴィングという手法が用いられていて、これが最も歴史が古くて力と熟練の技が必要な方法らしく、レンブラントは最後の仕上げとして使っているそうです。 彼のたとえば『ロウソクの明かりの下で机に向う書生』なんていう作品は白よりも黒い部分が多くて、ほとんど闇なんです。 ロウソクの明かりだけしか最初は見えないんですね。 でもよーく見ていると、まるで暗闇に次第に目が慣れて来るように、ロウソクの明かりのそばからだんだんと周りが見えて来るようになります。 そして、『ああ、人がいたんだ』って気がつくんです。 こんなの版画で出来るんですね。驚きました。 この『3本の木』という作品も素敵でした。 この企画展は上野の国立西洋美術館で6月12日まで開催されています。このあとは名古屋に行く予定だそうです。 詳しい作品紹介はこちらからご覧になれます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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