テーマ:社交ダンス(8398)
カテゴリ:アートのはなし
フェルメール展に行く前に、同じ上野の国立西洋美術館で開催されているルーベンス展を見ました。
今年ベルギーに行った時にフランダースの犬に出てくる教会の絵画をご紹介して彼がこの地にバロック芸術をもたらしたと書きましたが、その源となったルーベンスのイタリア留学時代が今回の展覧会のメインテーマになっています。 ペーテル・パウル・ルーベンス『聖アンデレの殉教』1638-39年 『王の画家にして、画家の王』と言われたペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)は、1600年から8年間イタリアで絵画を学び研鑽を積みました。 アントワープに戻った彼はたくさんの弟子たちを抱える大工房を構え、堪能な語学と品のいい人柄で外交官としても活躍します。 バロック絵画は宗教画や神話を題材にしたドラマチックな大作が主ですので、教会や宮殿を飾る分にはいいんですがちょっと自分の家に飾ろうという気は起きないんです。 例えばこちらの絵はギリシャ神話に基づいています。 ペーテル・パウル・ルーベンス『パエトンの墜落』 1604-05年頃(おそらく1606-08年頃に再制作)ワシントン・ナショナル・ギャラリー 太陽神アポロンの子であるパエトンが馬車を暴走させて天を駆け、怒ったゼウスが雷で打ち落すと言うお話。 伝え聞くそれらの物語をルーベンスは迫力のタッチであたかも見てきたかのように目の前に展開してくれるんですね。 フェルメールと逆で彼は現存する作品がものすごく多いんです。 いくらなんでもそんなに描けないだろうと言うくらい。 重要な顔の部分だけ書いてあとは弟子に任せるとか、最後にちょこっと筆を加えるとかそんな感じで仕事を進めていたのだろうと誰もが想像できるわけです。 ただ自分の家族を描いた小作品に関しては、すべて彼自身の筆によるものではないかと言われています。 リヒテンシュタイン侯爵家からの作品がいくつかありました。 ペーテル・パウル・ルーベンス『クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像』1615-16年 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション 2012年の企画展でこの可愛らしい女の子の絵を見たのをはっきり覚えています。 ルーベンスの5歳の愛娘の絵です。 ペーテル・パウル・ルーベンス『エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち』1615-16 年 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション ペーテル・パウル・ルーベンス『マルスとレア・シルウィア』1616-17年 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション この2点もギリシャ神話に基づいた作品です。 当時堂々とヌードを描けるのは神話に基づいた作品くらいだったでしょう。 軍神マルスが巫女レア・シルウィアに恋い焦がれ迫る様子に17世紀の人々は禁断のエロスを覚えたに違いありません。 ルーベンス展は2018年10月16日〜2019年1月20日に上野の国立西洋美術館で開催されています。 金曜と土曜は夜8時まで見られますので狙い目かも。 特設サイトはこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018/12/03 07:04:21 PM
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