テーマ:社交ダンス(8377)
カテゴリ:アートのはなし
2016年に東京都美術館で開催された『生誕300年記念 若冲展』は、会期中の入場者数約44万6千人を記録し、4時間待ちの行列ができたと話題になりました。
フェルメール展が2019年1月7日の段階で50万人突破と報じられていましたが、若冲展は開催期間も短く予約制でもありませんでしたから『何時間待っても見たい』という注目度の高さでは近年稀に見る大ヒットだったと思います。 毎週録画して見ている『美の巨人たち』の今回のテーマが『伊藤若冲スペシャル』でした。 私は若冲展に行けなかった部類ですが、この番組で伊藤若冲という画家の凄さを改めて認識しその生き方にも興味を覚えました。 若冲は京都・錦小路の青物問屋に生まれました。 京都には年に一度は行きますが最近錦小路の方に行ってなかったので知りませんでした。 『若冲の生家』と大きく書かれた家があるんですね。 相当な大店だったようで、23歳の時に父親を亡くして跡目を継ぎ、酒や女や芝居といった道楽には一切興味を示さない真面目な働き者だったようです。 唯一心を向けていたのは絵を描くこと。 狩野派に師事したことはあるようですが流派に属することなく、熱心な仏教徒だったので近くのお寺から借りてきた中国の絵をひたすら模写して腕前を上げていったようです。 40歳の時に引退して弟に仕事を引き継ぎ、そこからは絵の道に邁進します。 大金持ちで生活には困らなかったので高価な顔料も臆すところなく使用。 受けようが受けまいが自分の好きな絵を好きな方法で好きなだけ描いた大旦那の道楽だったようです。 若冲が京都・相国寺に寄進した「釈迦三尊像」3幅と「動植綵絵」30幅は最高傑作と言われています。 それ以外にも実験的なモザイク屏風や水墨画、版画に至るまでアイデア満載、しかも緻密、豊かな色彩に鋭い観察眼、若冲の道楽を超えた極みが見て取れます。 趣味も極めれば芸術になるんですねぇ。 鳳凰や孔雀や鶏など鳥の絵が多いんですが、アップで見ると羽の一枚一枚に至るまでとても手書きとは思えないような正確さで描かれていて、隠居して時間はたっぷりあったとはいえ1日に羽何枚くらい描けたんだろうかと思ってしまいました。 悠々自適の生活が長く続いた若冲でしたが、72歳の時に天明の大火(1788)にあって京都が焼け野原となり若冲の家も焼けてしまったそうです。 大阪に逃れた若冲は、初めて生活のために絵を描くことになります。 若冲が再び注目を集めたのは平成になってからのようで、蔵に眠っていた絵巻が発見されたり研究が進んだりして生誕300年にして日の目を見た画家のようです。 若冲は生涯結婚せず、80歳を超えてもなお筆は衰えることなく傑作を世に残し続けました。 自身が『私の絵は1000年後に理解される』と言っていたそうですが、千年を待たずにブーム来たるということでしょうか。 2019年2月9日から4月7日まで上野の東京都美術館で『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』が開催されていて、伊藤若冲の作品も見ることができます。 ご興味のある方はこちらへどうぞ。 また、2019年3月26日から5月6日まで福島県立美術館で『伊藤若冲展』が開催されます。 こちらは国内外から約100点の若冲作品が集結するとのこと。 公式サイトはこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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