テーマ:社交ダンス(8377)
カテゴリ:アートのはなし
新橋駅はDTCに行く時よく利用するのですが、ゆりかもめの先の新しい高層ビル群には行ったことがありませんでした。
ちょうどお昼時で、駅ビル地下の食堂街はたいへんな賑わい。 最近あまり耳にしなくなったプレミアムフライデーを利用して、今日は美術館賞とレッスンに行ってきました。 パナソニック汐留美術館はパナソニックビルの4階にあります。 テレビで何度かこの企画展を紹介する番組を見ましたのですでに見たような気持ちになっていましたがやはり実物を目にすると違いますね。 チケットにもなっていたこの絵は1885年の『一角獣』という作品です。 『一角獣』(1885年) 純潔の乙女にしかなつかないといわれる一角獣と戯れる美女たち。 見とれたまま蕩けてしまいそうな幻想的な世界ですが、近付いてみると非常に細かい描写に驚かされます。 左の女性が身にまとっている衣装の装飾など描くのに相当時間をかけている気がしました。 ギュスターヴ・モロー(1826-1898)は、象徴主義の巨匠と言われています。 『24歳の自画像』(1850年) 同時代の印象派が見たものをそのままの印象で捉えたのに対し、象徴派は見たこともないことを象徴的に表現したという感じでしょうか。 ラファエル前派とかクリムトなども象徴派のくくりにはいるらしいです。 モローが描いたのは神話や聖書を題材にした世界でした。 モローの代表作の一つであるこの『出現』(1876年)は、指差すサロメの表情が実にいいです。 立ち方もかっこいい。 『出現』(1876年) 王の前で踊り、その褒美として何でも好きなものをといわれたサロメは、自分の誘惑に屈しなかったツレナイ洗礼者ヨハネの首を要求するんです。 斬首刑になったヨハネの首が、彼女にしか見えない幻影として出現するんですね。まあ怖い。 光る生首もすごいんですけど、背景の宮殿装飾がまた細かいんです。 縦1.5m横1mくらいの絵ですが、すごい迫力ですよ。 サロメを題材とした数多くの素描や習作が展示されています。 この展覧会のサブタイトルが『サロメと宿命の女たち』ですからね。 もちろんそれ以外のギリシャ神話もいろいろ。 神や英雄を魅了する女性たちの絵です。 モローは生涯独身だったんですが、絵の題材のような上から目線の魔性の女たちが好きだったというわけではないらしく、最愛の母親はとってもやさしい、ちょっと過保護な感じのひとだったようです。 近所に住んでた10歳下の恋人アレクサンドリーヌとは30年近い付き合いでした。 二人で一緒に雲の上を散歩する漫画みたいな絵がすごく可愛いんです。 この絵をプリントしたショッピングバックがお土産コーナーで売られてました。 『雲の上を歩く翼のあるアレクサンドリーヌ・デュルーとギュスターブ・モロー』 最愛の母が亡くなり、その数年後にアレクサンドリーヌにも先立たれて、悲しみの中に描いたのが『バルクと死の天使』です。 他の絵とずいぶん作風が違います。 バルクと死の天使(1890年) モローはパリ生まれでパリで亡くなった生粋のパリっ子です。 1888年には美術アカデミー会員に選ばれ官立美術学校の教授も務めていました。 マティスやルオーは彼の教え子だそうです。 ギュスターヴ・モロー展は6月23日まで東京のパナソニック汐留ミュージアムで開催された後、大阪展が2019年7月13日から9月23日まで、あべのハルカス美術館で見ることができます。 さらに2019年10月1日から11月24日までは福岡市美術館で開催されます。 パリのギュスターヴ・モロー美術館から14年ぶりにやってきた象徴主義の巨匠の作品約70点、ご興味ある方公式サイトはこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/06/01 02:44:17 PM
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