テーマ:社交ダンス(8398)
カテゴリ:アートのはなし
恵比寿駅から渋谷橋を越えてゆるい坂を登って行くと、10分ほどで山種美術館に到着します。
駒沢通りを挟んだ向かい側には広尾高校があり、部活でしょうか、元気な声が聞こえてきました。 美術館の隣には、たぶん昔からずっとそこにあると思われる小さな八百屋さんがあります。 山種美術館は広尾に移転して今年で10年の節目になるそうです。 速水御舟『桃花』(1923) ここを訪れるのは初めてなんですが、いくつもの重要文化財を含む日本画専門の美術館で、中でも今年生誕125年となる速水御舟(はやみ ぎょしゅう)のコレクションは120点にも登ります。 『桃花』は自分の娘の節句のお祝いに描いた絵だそうです。 20代後半の御舟は徹底した写実を追求していて、その頂点とも言える作品が代表作『炎舞』です。 速水御舟『炎舞』(1925)重要文化財 速水御舟が31歳の時に描いた傑作です。 軽井沢滞在中、たくさんの蛾のスケッチを残しました。 彼はこの深い闇の色について、もう一度描けと言われても二度とは出せない色と語ったそうです。 炎に吸い寄せられる蛾のように、私も含め展覧会を見に来ていた人たちがこの絵の前に集まっていました。 暗い特別室に展示されていたので余計にこの炎がリアルに感じられたんですね。 梯子の頂上に登る勇気は尊い さらにそこから降りて来て 再び登り返す勇気を持つものはさらに尊い 手記が沢山残されていて、『型にはまってはならない』という信念が見て取れました。 『炎舞』で頂点を極めた御舟は作風が写実から琳派(りんぱ)へと変化していきます。 平面的で華麗な装飾美です。 速水御舟『翠苔緑芝』(1928) 2019年6月8日から8月4日まで、この美術館の中心的作品群である速水御舟コレクション全作品を前期・後期に分けて10年ぶりに一挙公開するという特別展が開催されています。 速水御舟『名樹散椿』(1929)重要文化財 前期は7月7日までですので、上の『名樹散椿』など、今しか見られない作品がいくつかありました。 背景の均一な金は『撒きつぶし』という技法だそうで、この技法を再現したDVDを見てきましたが、金粉をまいて手で伸ばすという作業を何度も繰り返すことで作り出すのだそうです。 36歳の時に横山大観たちと一緒に10ヶ月ヨーロッパ遠征に出かけます。 エルグレコやジョットに影響を受けたそうです。 デッサン力を磨くことがもっと必要だと痛感した御舟は、日本に帰ると人物画にも取り組みました。 残念なことに40歳で亡くなってしまうんです。残した作品は700点ほど。 横山大観は『速水君の死は、日本の為に大きな損失である』と述べたそうです。 速水御舟『紅梅白梅』(1929) この梅の絵、あまりにバランスよく美しいのでお土産にこの絵のクリアファイルを買ってきました。 紅梅の下から斜め上の白梅に向かって流れる薄墨、間を分ける細い月が一体感にアクセントを乗せています。 他に鳥好きな母のためにかわいいモズの巣の絵はがきも買ってきました。 速水御舟『百舌巣』(1925) 前期作品が見られるのは今週末までですので御興味有る方はお早目に。 公式サイトはこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/07/17 08:20:25 AM
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