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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2006年11月15日
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カテゴリ:アート
会場の終わり近くに1970年の少年マガジンが展示されていま
した。値段70円。表紙はエッシャーの版画。連載マンガの紹
介を読むと、巨人の星、あしたのジョー、ゲゲゲの鬼太郎、無
用ノ介、キッカイくん、そしてリュウの道。大阪万博の年、
6年生だった私は確かに、この雑誌を持っていました。

少年マガジン.jpg

その少し前、やはり少年マガジンに連載された大伴昌司の編集
したエッシャー特集、リアルタイムで読んでいました。(今年は
夏の「不滅のヒーローウルトラマン展」に続いて、若くして夭
逝したこの編集者との二度目の出会いです。)不思議な絵だなぁ
と何回も見つめ返したことを覚えています。

余談ながら、ここでエッシャーの版画の解説を書いているのが、
あの真鍋博であることに気づきました。真鍋博は後に星新一の
ショート・ショートにはまった時の挿絵で大好きになった画家
です。そんなわけで、私のDNAには、エッシャーが摺りこま
れているのかもしれません。

さて、そのエッシャーだまし絵風の作品の数々、幾度となく書
物等で見ていた作品を目の当たりにして見ることができて、実
に楽しい展覧会でした。

イスラムのモザイクタイル模様の写生から考えられた正則分割
(平面を同じ形の紋様で埋めつくす)という手法やイタリア旅
行の頃の作風が、のちのあの不思議なだまし絵の基礎となって
いることがよく分かります。エッシャーという版画家の軌跡が
非常に理解しやすい構成になっていました。

その初期のイタリア旅行の頃の作品など強く印象に残りました。
例えば、「ボニファチオ、コルシカ島」という版画と、同じ場所
の実際の風景写真が並べて展示されていました。写真で見ると
普通に感じる光景が、版画になると(特に木版画で表現される
と)、まったく同じ構図なのに、夢か幻のような何ともいえない
不思議な光景に変貌します。

また、夜のローマを描いた一連の作品も素晴らしかった。それ
ぞれ、横だけの線、斜めだけの線、四角だけの線を中心に彫ら
れた作品。実験的な作品なのでしょうが、どれも光の表現が鮮
やかで、ローマの教会などが闇から浮かび上がってくる姿はド
ラマチックで感動的でした。

昼と夜.jpg

代表作の「昼と夜」。これも何度も書物の挿絵で見ており、白い
鳥と黒い鳥が入れ替わるということは分っていたのですが、今
回、はじめて下の畑が上方の鳥に変わっていくということに気
づきました。左右という横の視点と上下という縦の視点を組み
合わせた作品だったのですね。よく考えられているなぁと感心
しました。

天国と地獄.jpg

正則分割は世界を支配する秩序だというエッシャーの言葉があ
りましたが、なるほど正則分割の数々の版画を眺めていて、マ
ンダラを連想しました。天使と悪魔で円を埋めつくす「天国と
地獄」は感動的です。

メビウスの輪.jpg

メビウスの輪を見ていて、やはり子どもの頃に読んだ、筒井康
隆の短編を思い出しました。メビウスの輪とかクラインの壷と
か知ったのも彼の短編集だったかもしれません。タイトルは忘
れましたが、科学者が彼女を二人にしようと山の手線をグルグ
ルと乗り換えさせたという話があり、実際に私も山の手線に乗
って実験しようとしたら、実は小説通りの配置ではなかったと
いう思い出があります。

任天堂DSの観賞用ガイドソフトも無料で借りることが出来て、
ずいぶんお得な展覧会でした。





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最終更新日  2006年11月17日 09時18分34秒
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