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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2006年11月30日
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カテゴリ:アート
応挙と芦雪.jpg

前期とすべて展示作品を入れ替えて、まったく新しい展覧会と
行ってもいいでしょう。おかげで奈良に2回来ることになって
しまいました。(今回は、紅葉の時期でよかったです。)

まずは人物のコーナー。
応挙や芦雪の美人画。のちの浮世絵のようにデフォルメされた
美しさでなく、楚々とした気品のある絵です。静岡県立美術館
でも出会った芦雪の「大原女」が、いちばん好きです。

ギョッとするのが応挙の「波上白骨座禅図」。まさに読んで字の
ごとく、骸骨が波の上で座禅を組んでいます。先日、NHKの
「知るを楽しむ」で、辻先生が歌川国芳の描いた骸骨の絵を取
り上げていましたが、こちらの応挙の絵も、当時見た人はみな
驚いたことでしょう。でもとてもかわいい姿で笑ってしまいま
す。

山姥.jpg

芦雪の「山姥図」は、異様です。でも迫力十分。乱杭歯の山姥
と真っ赤な金太郎。金太郎がこんな恐ろしげな山姥に楽しげに
まとわりついているということが、奇異に感じるのでしょう。
(親子だから当たり前なのですが。そういえば、この絵でも目
の感じがよく似ています。)晩年、芦雪は、このようなグロテス
クな絵を描くように変わってきたとのこと。曽我蕭白の絵を見
るようにゾクゾクします。

同じく芦雪の「唐子琴棋書画図」は、子どもたちのやんちゃな
姿を描いたほほえましい絵。真ん中の絵を描いているざんばら
髪のこども。弟に紐をつけてどこかに行かないように面倒を見
ている仕草がかわいい。ジャニーズ系の顔立ち。優等生という
感じもします。

応挙の「七難七福図巻」。今回は安心してみることのできる「福
寿」の巻。前回の「人災」の巻は、かなり残虐なシーンがあり、
所有者の意向でその場面は公開されなかったそうです。図録に
は一部血しぶきが飛び散る場面が載っていましたが、それ以上
に残酷な場面だと係の人が話されていました。

花鳥のコーナー。
応挙の「朝顔図」。銀地にブルーの朝顔の花。花のブルーと白。
葉っぱの濃い緑と薄い緑の繰り返し。まるで琳派のような表現
です。

応挙の「雨竹風竹図」。雨に煙り、風に揺れる竹林。応挙の水墨
画の最高傑作とのこと。長谷川等伯の「松林図」を思い起こし
ました。

応挙の「雲龍図」と芦雪の「龍図」とが並んで展示されていま
した。比較してみるとやはり応挙の絵は写実的な表現です。い
ろいろな動物のパーツを的確に表現して、この龍を組み立てま
した。流れる雲に逆巻く波。その上を走る架空の龍。本当にこ
んな生き物がいそうな感じです。対して、芦雪の龍はデフォル
メされた顔や爪や角。大胆な筆致は迫力満点です。ここでこの
師弟の目指す方向の違いが理解できます。串本の無量寺蔵。前
期の「虎図」と対になる作品です。

同じく無量寺の芦雪の「薔薇図」に描かれた猫。前足を伸ばし
て川魚を追う猫のかわいらしさ。前期の「虎図」は、この魚の
目から見た猫の姿とも言われているそうです。

山水のコーナー。
芦雪の「昔話図」。絵巻の一部のような山里の光景。なぜこれが
昔話かというと、桃太郎の「おじいさんは山に芝刈りに、おば
あさんは川に洗濯へ」という情景を描いたものだからです。平
和な光景です。

taki.jpg

最後は応挙の「大瀑布図」。滝を実際の大きさで表現しようとし
た作品だそうです。なるほど離れてみると、ごぉごぉと滝の流
れ落ちる音が聞こえてくるようです。

他にも、応挙の孔雀や芦雪の猿・虎などの絵を紹介したい作品
が目白押しですが、このあたりで終わりにします。はるばる奈
良まで出かけた甲斐がありました。





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最終更新日  2006年12月01日 12時18分49秒
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