カテゴリ:アート
平日の昼間でしたが、案の定混雑していました。それでも、少しの
間なら絵の前に止まって見ることができるくらいなので、さほ どのストレスではありません。 1 「親密な時間」のコーナー。 モネの「アパルトマンの一隅」に惹かれました。左右対称の構 図がステキです。そして、光の当たった鉢植えとカーテン。劇 場の幕が開いて奥の影になった人物に光が当たる寸前といった ような劇的なシーンです。 「温室の中で」大作です。アルベール・バルトロメという画家 をはじめて知る。これも、上のモネの作品同様、光と影の対比 がみごとです。濃紺の水玉とストライプのドレスが実にいい味 わい。黄金のブレスレッドがまぶしくてたまりません。 2 「特別な場所」のコーナー。 モネの「アルジャントゥイユの船着場」。雲が生きています。モ コモコと心地よい。そして、「ルーアン大聖堂」。これは、日中 の大聖堂でしょうか。青い空に陽射しの強さを感じます。今ま で見たルーアン大聖堂の中で、いちばん気持ちのいい作品です。 マネの「ブーローニュ港の月光」。暗い画面に白い月光が鮮烈に 描かれています。鋭い切れ味という感じです。「アンリ・ロシェ フォールの逃亡」。緑の波のさざめきとキラリと輝く光の反射が 美しいのです。 3 「はるか彼方へ」のコーナー。 このコーナーの主役はやはり、ゴッホとゴーガン。ちょうど都 美術館の階段の手前のくぼみにゴーガンの絵がありました。「黄 色いキリストのある自画像」。キリストの絵がマンガのようでし た。 そして階段を登った先には、有名な「アルルのゴッホの寝 室」。どの家具もゆがんで描かれています。奥の深緑に光る窓が 強烈な印象をもたらします。「アルルのダンスホール」は、ゴッ ホ特有のうねうねが無く、ゴーガンのクロワゾニズムの特徴を 取り入れた絵。ゴーガンとの和解の作品とのこと。 4 「芸術家の生活」のコーナー。 マネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」が圧巻。意 外と小品でした。解説のポール・ヴァレリーの言葉にあるよう に絶対的な黒、マネだけの黒に目を奪われます。ややアンバラ ンスな目が、意志の強さを感じさせられ、魅力的です。スミレ のブーケ、目を凝らしてようやく分りました。 セザンヌの「ギュスターヴ・ジェフロワ」。線の魅力と色の魅力 がマッチした素晴らしい人物画です。 5 「幻想の世界へ」のコーナー。 モローの「ガラテア」がいちばん。輝く裸身に絡みつく草花が 宝石のように光っています。輪郭線だけの草花も不思議な味わ い。三つ目の巨人もただの背景で、そっと主役を眺めるのみ。 フランソワ・ガラという画家もはじめて知る。神殿の連作。ブ ルーとサーモンピンクが美しい。SF小説に登場する未来都市 のよう。 これも初見のカレル・マチェックの「預言者リブザ」に見送ら れて、今回のオルセー展が終わります。見どころが一杯で、何 度も足を運びたくなる展覧会です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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