カテゴリ:アート
ここの常設展で、お馴染みの絵はいくつもあるのだが、その中 でいつも立ち止まってしまう絵のひとつが、北脇昇の「クオ・ ヴァディス」である。 空色の大地と空の向こうに地平線が見えており、よれよれの洋 服にずた袋を担いだ男の後姿が描かれている。二またの道標が 描かれ、それぞれの先には、赤旗を掲げたデモらしき隊列と、 嵐の光景が描かれている。 クオ・ヴァディスとは、「主よ、何処へ行きたもうや」という意 味であるそうだが、まさに人生の岐路に立つこの男性の選択の 瞬間を描いているのだろう。 ちょうどこの絵が描かれた1949年は下山事件などの事件が起 こり、戦後日本のきな臭いにおいの立ち込めている時代である。 その中で、男は労働運動の方に向かおうとしているようでもあ る。主義主張はさておき、私も人々の連帯の方向に向かおうと している男には共感できるのである。 男の左側にある貝がらであるが、ねじれの方向ってこれで正し いのかしらといつも気になっている。どうも正しい巻貝の描き 方ではないなと思っている。 北脇の作品は、離れたコーナーに「独活(うど)」も展示されて いる。シュールリアリズムの画家の面目躍如。この画家もこれ から追って行きたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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