カテゴリ:アート
memeさんのブログで初めて知った画家。新潮文庫の松本清張 「ゼロの焦点」の表紙を描いた画家ということで愛着を感じた こともあって、出かけてみた。 びっくりした。この人の絵をどう表現したらいいのだろう。初 期の作品こそ、まったくの抽象画であるが、その後の大部分の 作品は、対象はリアルに描かれ、何が描かれているのかよく分 かる。シュルレアリスムっぽくもあるが、それぞれの絵の全体 像は分かりやすい。 水滴、羽、糸、網、リボン、虫、針、ウズラの卵・・・・など が記憶に残る。ホームページの解説を読むと「絵画による造形 詩というべき静謐な心象風景世界」を描いたとあるが、なるほ ど、どの絵の前にたたずんでも、そこでは時間と音が止まった 空間であった。私がこれらの絵の前で連想したのは、先日亡く なった太田省吾の「水の駅」という無言劇であった。 まず、入り口前の「地・洪水のあと」。これは、通り過ぎても、 また戻って眺めたくなる。変な例えだが、のどに魚の骨が刺さ って、気になって仕方がないというような感覚。見ていると、 心臓がカサカサとしてきて、しばらく軽い痛みというか痒さと いうようなものが残っているような感覚にとらわれる。Meme さんは、「荒廃した世界の中、地中に沈んでいくような感覚」と 表現されていたが、まさにその通り。 東京オペラシティーアートギャラリー蔵の「御滝図(兄に)」は、 那智の滝のように見える。日本画家の兄、麻田鷹司の没後に捧 げた絵らしい。写真のようにも、または日本画のようにも見え る。応挙の掛軸のようなダイナミックさを感じる。それでいて、 一瞬、音が止まった静寂さを感じる。この滝の絵も印象にずっ と残るだろう。 **************************** 近代美術館の4階のコレクションギャラリーでは、父麻田辨自 ・兄麻田鷹司の日本画が展示されていて興味深かった。 もうひとつ、なんと目前のフィラデルフィア美術館展で眺めた ばかりの、マティスの「青いドレスの女」の別バージョンであ る「鏡の前の青いドレス」があって、びっくり。思わぬ収穫で あった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年08月13日 07時05分43秒
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