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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年02月17日
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カテゴリ:アート
とらさんるるさんの情報で、葛飾応為の「吉原格子先の
図」が出ていることを知って、ようやく出かけることがで
きた。

何しろ、自分も上記のお二方同様、昨年のたばこと塩の博
物館での「川柳と浮世絵で楽しむ江戸散歩展」でこの版画
「新吉原百景・張見世」に出会ってから、すっかり魅せら
れてしまったひとりなのである。

ましてや、今回は肉筆画の展示ということで、期待も大。
一階の畳敷きのコーナーに展示されていた。正座をし、実
際に眺めると版画と同じ大きさではあったのだが、期待を
裏切ることなし。その妖しくも美しい世界にじっと見入っ
た。

吉原格子先の図.jpg

光と影、明と暗の対比・・・なんてことは重々承知の助。
吉原を描いたこの絵の中では、あくまでも格子の外は実体
のない「虚」の世界、つまり闇であり、格子の内側だけが
光り輝く「実」の世界。居並ぶ遊女たちの世界だ。

しかしながら、遊郭も芝居小屋も、その実態は現実から離
れたひと時の夢に過ぎない。その逆転の対比を感じさせる
ところにこの絵の凄さがあるのだなぁと思った。

鳥文斎栄之の肉筆画「吉原女芸者図」がある。栄之独自の
優しい顔つきの芸者たち。この絵の表装も見事であった。
草葉の刺繍がほどこされ、上下には蝙蝠の絵が描かれてい
た。

話が逸れるが、蝙蝠の飛ぶ様子を描いた広重だったか、国
貞だったかの「納涼図」の解説に、最近では蝙蝠はいなく
なったが江戸時代には珍しくなかったというような解説が
あった。ところが、今でも我が家の周りには蝙蝠がうじゃ
うじゃ飛んでいるのだ。日本橋まで30分ちょい。都会と
はいえないが、決して田舎でもないところだ。

さて、鳥居清長「真崎の月見」や鳥文斎栄之の「吉原女芸
者図」の清楚でほんわかした美人の肉筆画を見た後に、横
にある渓斎英泉の肉筆画「月夜柳下の芸妓図」を眺めると
そのギャップに打ちのめされる。これが本当に美人なのか
どうかと考えさせられてしまうのだ。

二階では、豊原国周の里見八犬士の面々の絵が印象に残っ
た。犬塚毛野や犬江親兵衛の美しさ。演ずる役者の表情が
実にいい。

小林清親や、川瀬巴水の上野不忍池に落ちるネオンの灯り。
実景を何度も眺めているのだが、浮世絵になるとまた趣が
ある。





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最終更新日  2008年02月17日 23時00分47秒
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