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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年04月22日
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カテゴリ:アート
先日のオフ会で前に座ったYUKIさんに、今の展覧会
のお勧めは?と尋ねたら、これがよかったと紹介され
た。ガレの展覧会には何度も出かけ、作品もかなり見
ているので、もういいかなと思っていたのだが、それ
ほどお勧めならばと、出かけてみた。

展覧会のタイトルどおり、19世紀末に欧米で流行っ
たジャポニズムの視点から、ガレの作品を取り上げた
大変分かりやすい展覧会であった。

展覧会は、次の4章構成となっている。
1 コラージュされた日本美術
―ジャポニズム全盛の時代
2 身を潜めた日本美術
―西洋的な表現との融合、触れて愛でる感覚
3 浸透した日本のこころ
―自然への視線、もののあはれ
4 ガレと蜻蛉

まず日本の浮世絵や工芸品の模倣から始まり、やがて
茶碗のように触感を大事にするようになり、小さな生
き物に目を向け、自然こそすべての出発点だと悟って
いったガレの変遷を辿ることができた。

ガレの蜻蛉などの虫や、花々が溶けたようにガラスの
中に組み込まれている壷や器など、何度も眺めていた
のだが、なるほどジャポニズムをこのように消化して
作られたものであったのかと理解ができた。

そんな理屈はさておき、会場に入ってすぐに、北斎漫
画の魚濫観世音の鯉を写したガラス壷と出会う。暗い
会場内にスポットライトを当てられたこの壷を見ただ
けで、この展覧会に来てよかったと思った。青みがか
った透明のガラスの中で鯉がゆらゆらと動いているよ
うだった。

ガレの月光色ガラスというのだが、この涼しげな透明
感が心地よい。そこに描かれた動植物は北斎らが描い
たままであるのだが、広重の浮世絵を模倣したゴッホ
の絵のような妙な感覚はなく、すんなりと眺めること
ができる。

後年の少々グロテスクに感じる動植物を取り入れたも
のよりもずっとすっきりとしていて、私はこちらの方
の作品にすっかりと魅せられてしまった。

その後年の作品であるが、会場には、宮川香山の壷や
器が展示されていて、ガレの作品との共通点があるこ
とがよく分かった。ガレは、ここでも日本の工芸品の
影響を強く受け、立体的に動植物を組み込んだ器を作
ったのである。

会場で思いがけず、「美の巨人たち」で特集された宮川
香山の「渡蟹水盤」を見ることができたのも大収穫で
あった。東博のものは何度か見たことがあったである
が、こちらは未見であり、いつか出会いたいと思って
いたのであった。

ガレの変遷も辿ることができ、宮川香山の作品にも出
会うことができ、YUKIさん、ご紹介くださりありがとう
ございました。





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最終更新日  2008年04月22日 06時11分09秒
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