1892854 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2008年05月03日
XML
カテゴリ:アート
こちらも、大丸ミュージアムで開催されている4大浮世絵展同
様の、中右コレクション。2ヶ所同時開催なんてすごいなぁと
感心。

入ってすぐは、美人画のコーナー。まずはおとなし目の菊川英
山から。歌麿風の上品な顔立ち。「傘美人」のすらっとした姿も
美しい。「風流大井川」も好きだ。美人を肩に担いだ大井川の人
足たちは幸せそう。ところがお次は英泉だ。猫背猪首の退廃的
な感じのする女性たち。昔は嫌いだったのだが、最近はイヤな
のだけれども、見ずにはいられないといった矛盾した感じ。そ
れって、実は好きなこと。ああ、自分も浮世絵の魅力にどっぷ
りと、はまってしまったなぁと感じる。

歌川芳虎の「染井植木屋金五郎」は、菊細工の白象の前で驚く
美女二人。「すごい!すごい!」と感動している二人の会話が聞
こえてくるようで見事である。芳虎の描く女性の顔はそれほど、
くどくなくて良い。

歌舞伎に詳しくないので、役者名の知識がなく、浮世絵の役者
絵は苦手なのだが、それでもここに出展されている役者絵(特
に大首絵)には感激した。三代豊国の「那迦犀那尊者(尾上菊
五郎)」は、顔の肌色が微妙に刷り分けられたり、額の静脈が青
く浮き出ていたり、役者名を紹介する部分が虹色グラデーショ
ンに刷られていたりして、見事の一言。芳虎の「安達元右衛門」
も同じ感覚の素敵な絵。

国貞の描く役者たち。とがったあごと鉤鼻とどんぐり眼も、初
めのうちは奇異に感じていたが、見慣れてくると愛着がわいて
くる。少しはろるどさんを思い出したりして(失礼しました)。

滝夜叉姫と大骸骨.jpg

三枚続きの妖怪絵のコーナー。国芳の「滝夜叉姫と大骸骨」。画
面いっぱいに現れる骸骨には、何度見てもはっと息を呑んでし
まう。他にも幽霊・妖怪の奇想の作品ばかり。現代人でも驚愕
するばかりなので、江戸時代の人々の受けた衝撃とこの版画の
人気はすさまじかったのだろうとこれらの版画を見ながら、今
更ながらに感じる。

歌川芳員の「源義経平知盛の霊に遭う」もすごかった。波の間
に間に潜む平家の武将の怨霊。波しぶきの表現はさながら北斎
の「神奈川沖浪裏」の幽霊版といったような感じ。

風景画では、北斎の富嶽三十六景の「山下白雨」。いつも見慣れ
ているものとは別に変わり刷りのものもある。稲妻に富士山の
下方の松林が一瞬照らされる光景。これも面白い。

ユーモアにあふれた造形遊びの作品。国芳の「年が寄っても若
い人だ」は、十二支の動物たちで男が描かれている。犬と猿が
見つからなかったのが悔しい。芳藤の猫のジグソーパズル。以
前、美の壷展で見た根付の原画の浮世絵を見ることができて、
うれしい。恐ろしい化け猫もよく見るとかわいい猫ばかり。

五十三次之内猫之怪.jpg

最後は、幕末の世相を反映した開国絵や横浜絵。こちらの作品
も美しく見応えのあるものばかりが選ばれて出展されている。

そのほか、肉筆画にも目を見張るばかりの作品が多く、目一杯
楽しめた。まさに百花繚乱。爛熟した時代の浮世絵を十分堪能
できる。とらさんがおっしゃるように、大丸での展覧会が浮世絵
入門編としたら、こちらは中級編だ。大丸で写楽、歌麿、北斎、
広重の4大浮世絵師の作品に惹かれたら、次はぜひこちらへ
どうぞ。浮世絵のコアな世界をたっぷりと味わえます。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年05月31日 07時45分33秒
コメント(10) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.