カテゴリ:アート
ブラマンクは、荒々しいタッチの花の絵や、お世辞に
も美しいとは言えない雪景色の作品を「フランス絵画 展」というようなタイトルの展覧会で何度も見ている。 それでも、あの荒々しさの中に、何故か引っ掛かりを 感じてしまう、好印象の画家の一人だ。 今回は、そんなブラマンクの作品を時系列で見ること のできるよい機会だった。 ただ、初期のフォービズムの頃の作品は、私は好きで はない。色も原色のきらめきというよりは、濁った色 が多く、雑然としている。まだ丹念に厚塗りされたフ ォービズム以前の「室内」という作品のほうがよい。 1920年に教えを請いに来た佐伯祐三の絵を「この アカデミック」と批判したそうだが、ブラマンク自身 も、ゴッホやセザンヌの影響を受け、キュビズムにも 一瞬足を突っ込んでいる。佐伯のどんな絵がアカデミ ックで、ブラマンクの気に入らなかったのか、気にな るところである。 ブラマンクの絵が魅力的に感じられるようになるのは、 やはり独自の雪景色の絵が描かれるようになってから。 40代から50代以降の作風であろう。 灰色や濃紺の荒天の空と濁った雪が厚塗りのタッチで 描かれており、自分の胸がひりひりと引っかかれるよ うに感じられる。 暗い背景にぼっと浮き出た花々の絵も、何とも魅力的。 荒々しくもあり、逆に清楚にも感じる不思議な感覚。 70代の晩年の作品。「雷雨の日の収穫」や「積み藁」 がいい。規則正しく絵の具の浮き出るタッチで描かれ た黄金色の麦畑を見るとやはりこの人の原点はゴッホ なんだなぁと実感する。空のタッチは大地と異なり、 平面に塗りつぶしたようなもの。濃紺の空は、荒れ狂 う海のようであり、白い雲は波濤のようだ。 この画家は晩年の頃の作品が好みである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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