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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年06月15日
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カテゴリ:アート
この画家の「好子像」は、竹橋の近代美術館で見たこ
とがあり、「源平合戦」も「揺らぐ近代展」で眺めていた
ので、名前だけは昔から印象に残っていた。

そんなおり、今年の春、新日曜美術館で放送されてか
ら、「鬼才」という言葉が頭に引っかかっており、楽し
みにしていた展覧会である。

河野通勢.jpg

チラシに掲載されている聖ヨハネ像にも、惹かれるも
のがあった。ロシア正教の信者でもあったということ
で、神秘的な宗教画を観ることができるのではと、 
Bukamuraの通りに提げられている旗に、期待が盛り
上がった。

展覧会は、10代の頃から描いた、故郷長野県の裾花
川周囲の風景画から始まる。コローから影響を受けた
とあったが、ウネウネしたタッチはゴッホの影響のよ
うにも思える。

濃密なむせ返るような緑の木々が、魚眼レンズで眺め
たように描かれている。決して美しくはないが、エネ
ルギーのつまった不思議な絵だ。ちょっと勘弁してく
れと言いたくなる気もした。

宗教画も静謐というより、どちらかというと粗いタッ
チでドロドロとした猥雑な感じがした。だから、先の
チラシのヨハネ像でイメージしていたものと予想がず
いぶんと異なったのである。

新日曜美術館では彼の才能は20歳前後の3年間ほど
に限られていたとあったが、私は後年の挿絵の方が好
きである。落ち着いて観ることができるからだ。

特に長与善郎の項羽と劉邦の挿絵の「虞美人化粧之図」
を油絵で描き直した作品がいちばん気に入った。こち
らの方が、まさに幻想的な光景。遠近法を無視したブ
ルーの湖面が背景。宮殿内で赤いテーブルに向かって
座った虞美人の髪をお付の女官たちが梳かしている。
子どもたちが花車を引っ張ったり、踊りながら虞美人
を慰めている。こういう路線の絵をもっと見たかった。

1931年に撮った写真で藤田嗣治そっくりの髪型を
したものがあり、興味深かった。後年、南画も描くよ
うになったマルチな才能を持った画家であったらしい。





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最終更新日  2008年06月16日 09時31分09秒
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