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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年08月21日
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カテゴリ:アート
先週、NHK美の壷で、「おばけの絵」の特集を放送する
という予告を見て、これは全生庵に行かなくてはと
思っていた矢先、書店では、「幽霊名画集」が平積みに
なっており、ブログではmemeさんの記事がアップ
されていた。

全生庵に来るのは、久方ぶり。以前は日本画に関心の
ない頃、もっぱら恐いもの見たさの感覚で尋ねただけ
だった。最近は河鍋暁斎、祇園井特の絵などでかなり
幽霊画にも慣れてきた。

全生庵の本堂を入った左手の一部屋が展示室である。
全部で36幅の幽霊の掛軸が展示されている。この日は
平日であったため、このお寺の幽霊画を見に来る人も
ちらほらとしかいない。たまたま、ひとりになった時、
歩いてもいないのに、目の前の板の間がギシッと
鳴ったのには驚いた。

最初にあった雪翁の「月下幽霊図」。彩色画である。
満月の下の痩せた女の幽霊。妖しい彼岸花とドクダミの
花が妙に美しい。隣は谷文一の「燭台と幽霊」。この
女の幽霊の顔も不気味。無の世界から身体半分が現れて
くる瞬間。ヒュードロドロという効果音が頭に浮かぶ。

こんな調子で、次々と有名無名の画家の幽霊画が続く。
グロテスクなもの。迫真の幽霊画。美人画。男の幽霊。
ちょっと笑えるものなどバリエーションに富んで楽し
める。

印象に残るのは伊藤晴雨の「怪談乳房榎図」。これも
彩色画である。瀧に打たれる赤子を抱えた男の幽霊。
(解説を読むとこの情景の内容が分かる。)瀧の水しぶきの
白や露草の青が映え、美しい絵。だが、そこに描かれた
幽霊はまさに凄惨という一言につきる。

円山応挙 幽霊.jpg

でも、幽霊だって、男や恐ろしい顔の女性よりも、
やはり美人がよい。応挙の有名な幽霊は、ふくよかな
気品に満ちた姿。ただ、応挙の真作かどうかは定かで
ないらしい。渡辺省亭の「幽女図」の泣き崩れる幽霊
なんかは、思わず抱き起こしたくなる美しさ。

池田綾岡の「皿屋敷」も同じく片袖で顔を押さえて
泣いているお菊の幽霊。たもとが透けているので
はじめて幽霊だと分かる。川端玉章の幽霊は、逆に
これでも幽霊かと思うほど生気いっぱいの美しい顔立ち。

ただ、どんなに美しい女性でも、一瞬にして鬼のように
変る様子をこれまで何度も見ているので、決して
安心はできない・・・





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最終更新日  2008年08月22日 17時52分18秒
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