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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2008年10月09日
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カテゴリ:アート
市川蝦蔵の暫.jpg

お待ちかねの浮世絵展。ここのところ、ギメ美術館や
ミネアポリス美術館、ベルギーロイヤルコレクション
の浮世絵を見て、その保存状態の良さに痺れているの
で、このボストン美術館の作品の美しさにも、まぁこ
んなものかと思ってしまうある種「慣れ」がでてきて
しまう。

それでも、春信の錦絵が登場する以前の浮世絵、「丹絵」
「紅絵」「漆絵」など鳥居清倍らの保存状態の良い作品
には目を見張った。黄色や紅、そして漆入りの黒が艶
やかにてかてかと輝いている。

もうひとつ、絶対外せないのは、展示リストの152
菱川師宣「美人えつくし」、154勝川春章「三十六歌
仙」、155北尾政演「吉原傾城 新美人合自筆鏡」の
3枚。これは、あの門外不出のスポルディングコレク
ションの作品なのだ。

スポルディング兄弟は浮世絵の退色を防ぐため、永久
に浮世絵を公開禁止として、ボストン美術館に収めた
のだが、この3点は、浮世絵でなく版本という形なの
で、その制約は受けないという理由。これからご覧に
なる方は、意識しておいてください。

政演の「吉原傾城・・」は、描かれた遊女がそれぞれ、
文字をしたためている。だから「自筆鏡」である。さ
すが、吉原の第一級の花魁たちの書であると感激。並
の女性ではないのだ。

あとは、私にとってはおなじみとなった絵師の作品を
ただただ、楽しんだ。

春信の「水仙花」はコタツで戯れる男女。二人の目は
濃厚に絡み合っているのに、真ん中で知らん振りして
寝ている猫が可愛い。

磯田湖龍斎の「雛形若菜の初模様」が数枚出ている。
当時は140点ほど作られた大ヒット企画だったらし
いが、これだけの数でもその一端がうかがえる。堂々
とした遊女たちの姿がステキである。

鳥居清長の「当世遊里美人合(花下酔美人)」は、花見
の桜の下での酔っ払い女を見て、くすくす笑う女たち
の仕草は楽しい。

歌麿の「月宮殿」は玄宗皇帝が天人立ちのところへ行
く場面。赤い雲が美しい。実は遊郭へ出かけるところ
の見立て。そう考えるとピンクムード満点で妖しい雰
囲気でもある。

歌麿のもう一点、「音曲恋の操 おこま 才三郎」の人
形遣いの二人の男女。お互いの顔が描かれた人形を操
作し、人間も人形も双方ともお互いの視線が絡み合う。
二人の愛の深さを濃厚に感じる。

栄松斎長喜の「涼舟五枚続」は、文字通り5枚続きで、
隅田川の舟遊びを描いたもの。よく見る光景の作品で
はあるが、一枚一枚がそれぞれ、賄い部門、演奏部門、
感激部門などとなっていて分かりやすい。いちばん退
色しやすいという紫色の美しさにうっとり。

広重の「三枚続 源頼光一代記」は金太郎、土蜘蛛、
酒天童子の鬼退治やら、盛りだくさんに描かれている。
金太郎に投げ飛ばされている熊の姿が愛敬たっぷり。

まだまだ紹介したい作品は、わんさかとあるのだが、
きりが無いので終わりにする。

チラシにもなっている国政の「市川鰕蔵の暫」を見る
たびに、同じボストン美術館の作品でも、幻のスポル
ディングコレクションの国政を見たいものだとつくづ
く思うのである。





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最終更新日  2008年10月11日 06時17分48秒
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