カテゴリ:アート
花咲ける妻有 posted by (C)一村雨 越後湯沢からレンタカーを借りて、この土日の二日間、 越後妻有トリエンナーレの各会場を回ってきた。といっても、 たった二日間では、そのごく一部しか行けなかったのだが。 今回は、空家・廃校プロジェクトの会場をメインに回る 心づもりで、辺鄙な場所を中心にでかけた。 しかし、この地域は空家はもとより、廃校が多いことには 驚いた。鉄筋造りで、しっかりした学校も多い。なかでも 平成5年に建てられて、昨年度廃校になった旧清津小学校は、 わずか15年。最後は、たった3人の子どもしかいなかった そうだ。まだまだ新しい現代的な開放感のある校舎を今後 どう使うのか。その反面、郷愁を誘う昔ながらの木造校舎の 学校もある。地域のコミュニティの核だった学校が無くなる のは哀しい。 いくつか、印象に残った作品について記す。 最後の教室 posted by (C)一村雨 クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの「最 後の教室」。わらの敷き詰められた体育館に無数の裸電球が 垂れ下がっている。蛍のようでもあり、人魂のようでもある。 わらの匂いが強烈だ。校舎の暗い廊下を歩くと、壁には何 やら黒いパネルが飾ってある。不気味な雰囲気。階段を 上がると理科室では、心臓の鼓動に合わせて裸電球が明滅 する。教室には棺桶を連想させるオブジェが多数。積み重 ねられた子どもの衣装が、かつて人がいたことを思い起こ させる。 枯木又プロジェクト posted by (C)一村雨 京都精華大学の学生たちの「枯木又プロジェクト」。こちらは、 昔ながらの木造校舎の分校跡。小さな体育館にこの学校の ミニチュアが吊り下げられている。その下にはトラクターが ある。ほのぼのとする展示がとても心に滲みた。 旧清津小学校 posted by (C)一村雨 真新しいまま昨年廃校になった小学校を舞台にした「富山 妙子の全仕事展1950~2009」。この画家は知らない方だっ たのだが、教室を回るたびに驚きの連続。日本の戦争責任 などをテーマにした強烈なメッセージと、鮮やかな民話 的・風俗的な絵画表現にぐさっと心をえぐられた。今年88歳に なられるとのことだが、精力的に活躍されているそう。 まったくもって、ぶれない一貫とした姿勢には感服。 しばらくこの人の衝撃から立ち直れそうにない。 脱皮する家 posted by (C)一村雨 廃屋をアート空間にした展示も多い。日大芸術学部彫刻 コースの作った「脱皮する家」はスゴイ。建物の柱から 床から壁から梁から、いたるところすべて、彫刻刀で削ら れている。手で触るとノミの跡が心地よい肌触り。床の 一か所に最後に収れんされていく彫跡が素敵だ。学生の パワーは素晴らしい。 みしゃぐち posted by (C)一村雨 古郡弘の「胞衣 - みしゃぐち」という建物。インドか東南 アジアの小屋を思い起こす不思議な空間。胞衣(えな)とは 胎児を守る胎盤を意味するようだが、宗教的儀式のために 作られたもののようでもある。日本の農家の集落のはずれに このような建物があること自体がミステリーっぽくって 楽しい。あいにくの天気だったので、長居できなかっのが 残念。何だかわからない空間にぼうっとたたずんでいた かった。 途中で出会った老夫婦。ひょっと覗くとパスポートの300 か所、ほぼいっぱいにチェックしてあった。若者の力と ともに高齢者の力も実感。大地の芸術祭、この夏、最高の 思い出。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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