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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2010年03月02日
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カテゴリ:アート
等伯展.jpg

長谷川等伯の画業を理解するのに、たいへん分かりやすい
展示内容となっているなぁというのが、第一の感想。

まだ京に出る前、北陸の寺院に仏画を描いていた時代の
作品から、最後の最後に登場する松林図屏風まで、
それぞれのコーナーに見どころ作品を配して、まったく
飽きさせない。

今まで、あちこちで断片的に等伯の絵を見ていたが、
今回は、たっぷりと眺めることができ、等伯という画家が
非常に身近に感じられるようになった。

印象に残ったいくつかの作品についてコメントしたい。

「牧馬図屏風」は、とにかくさまざまな野馬の姿が面白い。
身体やタテガミの色形がそれぞれ異なっており、見ていて
楽しかった。東博所蔵であったのだが、初めて見た。

「山水図襖」。なぜ桐の柄のある襖に描いてあるのかなぁと
思ったら、等伯が勝手に上がりこんで描いてしまったと
いう絵。短期間で書き終えた割には、傑作である。

金碧画のコーナーはすばらしい。今回の展覧会のチラシに
なっている国宝「楓図壁貼付」は、青い流水の上にかかる
楓の葉が特に見事。赤、金、緑色など様々な色合いが
まばゆいばかり。

「柳橋水車図屏風」。金泥で描かれた橋はまさに夢の
架け橋。そして緑色の柳の葉は、現の世界を表している
ように感じた。このあたりの作品は、ほとんど琳派。
涙が出そうなくらい感激した。

「波濤図」。金と墨との抜群のコンビネーションに思わず
クラクラとしてしまう。応挙以前にこんなにも力強い
波の絵を描いた画家がいたことを改めて知った。

巨大な「仏涅槃図」には、ただただ圧倒された。かつて
何かの記事で読んだことがあったが、実際に目の当たりに
してぶったまげた。

水墨画のコーナーになると、いよいよ国宝「松林図屏風」
とご対面かと期待したのだが、結局、最後の最後まで
引っ張られてしまった。個人的には、「松林図」を模写した
という作者不詳の「月夜松林図屏風」の方がメリハリが
あって好きだ。

葉室麟という作家の「乾山晩愁」という短編集に「等伯
慕影」という作品がある。千利休たち権力者にすがりながら、
狩野派との勢力争いを続けた長谷川等伯の人生。読み応えが
あるのでお勧めです。





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最終更新日  2010年03月03日 00時03分53秒
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