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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2010年06月06日
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カテゴリ:アート
ミュシャ展.jpg

はるか昔、高校生の頃、どこかのデパートで初めて
ミュシャの展覧会を見た。ここで、ミュシャの描く
女性たちにうっとりとして、部屋に多くのポスターを
張ったら、家人に色気づいたと言われた記憶がある。
そうそう、当時の理想の女性像は、ミュシャのポスターに
登場する女性たちであった。

それ以来、ミュシャ=アール・ヌーボー装飾の美しい
女性たちという公式がずっと頭に残っていたのだが、
しばらく前に「美の巨人たち」で「スラブ叙事詩」の
番組を見たときから、スラブ民族の心を描くことに
執念を燃やしたもうひとつのミュシャの世界を知り、
衝撃を受けた。いつかこの「スラブ叙事詩」の大作を
見たいと思っている。

少女.jpg

当然、6×8メートルの巨大な作品は、日本に来ることは
ないだろうが、今回の展覧会では、ミュシャの「スラブの心」
の作品にもスポットが当てられていて、大満足であった。
少女の像など、これがあのミュシャの絵?と言いたくなるのだが、
けれん味のない実にシンプルな絵。これが、キュンと心に沁みた。

今の日本人には、民族独立の悲願とかあまりピンと来ないし、
民族主義とかいうと何やら胡散臭くも思えるのであるが、
西洋近代史を理解していなくても、ミュシャの絵からは
何か熱い気持ちや崇高な思いが伝わってくる。

さて、アール・ヌーボーの華麗なポスターの女性像にも、
相変わらずうっとりと見惚れてしまうのだが、今回は、
ミュシャ様式といわれる、女性の光背のような円形の装飾を
細かく眺めた。植物、矢印、ハートなどの文様が複雑に絡まる。
当時、一世を風靡した装飾あるが、今の時代でも、十分に通用
する。

一方、このポスターと並行して、書物の挿絵も描いているのだが、
聖書の「主の祈り」の挿絵のリトグラフには驚いた。モノクロで
描かれた人間の群像がドラマチックに表現されている。
背景の巨人、画面中央に浮き出る少女、そして画面を埋める無数の
人々・・・。まさに幻想絵画である。
ミュシャは、こんな幻想絵画を描かせても、天下一品であると
いうことを改めて発見した。

多方面からミュシャをとらえた好企画の展覧会であった。





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最終更新日  2010年06月06日 07時02分32秒
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